北海道大学 獣医学部 学部案内
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獣医学部は、基礎獣医科学分野、応用獣医科学分野、環境獣医科学分野、臨床獣医科学分野、病原制御学分野、衛生学分野の6分野、計19の教室により構成されています。学部生は4年次において配属先となる教室を選び、5〜6年次にかけて課題研究を遂行します。各教室で行われている研究内容を簡単に紹介します。7Basic Veterinary Sciences解剖学教室は「動物の細胞や臓器の形と機能」に関する授業科目を提供します。これらを基礎とする分子形態学的なアプローチによって、動物の体でみられる細胞のダイナミックな形態の変化を機能および遺伝子発現と共に研究しています。特に胎生期の臓器形成過程、非再生性臓器(神経、心臓、腎臓)、および配偶子(精子、卵)の異常は次世代の動物たちに確実な危機をもたらします。私たちはこれら異常の根幹として「自己免疫の破綻」に着目し、モデル動物の開発や原因遺伝子の特定を行い、診療に有用な分子ならびに方法論を模索しています。複雑で多様な生命活動も、突き詰めるとDNAやタンパク質などの生体高分子の構造と相互作用によって支えられています。生化学はそれら分子の構造や働きを解明して神秘的ですらある生命現象を分子レベルで明らかにしようとする学問です。私たちは動物が生きていく上で必要不可欠な摂食行動やエネルギー代謝、睡眠とリズムがどのように調節されているのかという疑問、そしてその異常がもたらす様々な問題(肥満、糖尿病、泌乳障害、睡眠障害)について、分子からまるごとの動物を対象として研究を進めています。生理学は、生命のしくみを研究する学問分野です。生理学教室では、個々の生物が備えている生きるために必要な生理機能を、分子レベルから解明することを目指しています。一方で、命のしくみの全体像を知るためには、分子、細胞、組織、器官、個体と、ミクロからマクロまでの幅広い視野と知識が必要です。日常の研究では、ややもすれば当面の研究課題に没頭してしまい、広い視野を忘れがちになりますが、そうならぬよう気をつけながら、日々楽しく研究を進めています。「薬が効く」のは、体内に薬が作用する標的分子が存在するからです。そのため、「薬が効く」ことを利用して標的分子の機能を知ることができます。薬理学は、薬の作用とそのメカニズムを調べる学問であり、また薬を使って生命現象を解き明かす学問でもあります。私たちの研究室では、生体内の情報を伝えている伝達物質の作用に着目して、痛みや酸素分圧変化、様々な化学物質など外界の刺激を感知する受容細胞の情報伝達機構などを調べています。ここで明らかにされる新たな発見は、様々な病気に対する新薬開発の礎となる可能性を秘めています。見るから診るへ−分子形態学からみる100年後の未来−■う、寝る、太る!?の生化学解剖学教室生化学教室命のしくみを解き明かします!生理学教室薬理学教室薬のダイナミズムから生体機能の解明を目指す!基礎獣医科学分野分野・教室Departments / Laboratories

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