北海道大学 獣医学部 学部案内
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応用獣医科学分野環境獣医科学分野AppliedVeterinarySciencesEnvironmentalVeterinarySciences8毒性学教室化学物質汚染に弱い動物たちを明らかにするために地球上には数千万種を超える化学物質が存在していますが、過剰な化学物質の摂取は生体にとって有害な影響を引き起こします。一方で、私たちを含めた生物は、これらの化学物質を速やかに体外に排泄する仕組みを有しています。毒性学教室では、生物が持つ「化学物質から自分を守る仕組み」を解明し、化学物質汚染に弱い動物たちを明らかにすることを研究目標としています。時には実験室に籠もり、ある時には広大なアフリカの大地に生息する希少な野生生物の調査に繰り出し、現地で実際に起きていることとその原因を解明することで、目標の達成を目指しています。野生動物学教室私たちは、野生動物医学のプロフェッショナルを目指します生物多様性の保全を最終目標として、野生動物の保全と管理に貢献するための野生動物医学/保全医学教育研究を実践します。主に、クマ、シカ、アザラシといった大型哺乳類を対象にして、その生理・生態を明らかにするとともに、保全や管理への応用を心がけています。また、野生動物が介在する感染症の実態を明らかにするとともに、人、家畜および野生動物の間で起こる感染ルートや感染様式を解明します。さらに、アライグマをはじめとする外来生物が引き起こしている問題、特に在来生物や人への影響について研究を行っています。放射線学教室見えない放射線を科学する現在、伴侶動物の高齢化が進み、がんに罹患する動物が増加しています。その治療法の一つである放射線療法は放射線の持つ殺細胞効果/細胞増殖抑制効果を利用する方法です。外科手術に比べ全身への負担が小さいことや手術できない部位のがんも治療できることなどの長所がある一方、しばしば放射線に対して抵抗性を示したり、がん周囲の正常部位がダメージを受けてしまうことなどの短所もあります。私たちの研究室では、『より効果的ながん放射線治療』を目指して、様々な手法を用いてがんと放射線の関係についての研究を行っています。実験動物学教室マウス・ラットのゲノム解析から生命原理を学ぶ実験動物学とは実験に使用される動物に関する総合科学で、対象となる動物種はマウス・ラット等のげっ歯類の他、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、サルなど殆ど全てのほ乳類であり、これら動物の解剖学、生理学、遺伝学、育種学、繁殖学、疾病学などを扱います。即ちミニ獣医学と言っても過言ではありません。実験動物学教室ではこのように守備範囲の広い実験動物学の中から実験に用いられるマウスやラットのゲノム解析や感染症の研究と、研究院で飼育されている全ての実験動物の福祉を向上させる活動を行っています。

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