北海道大学 獣医学部 学部案内
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9Clinical Sciences獣医内科学教室私たちは、診療の中に研究テーマを求めます獣医内科学教室の目標は、病気の動物を診察してその原因を明らかにするとともに、適切な診断ならびに治療法を確立することです。このために私たちの教室では、本学附属動物医療センターに来院する病気の動物たちの診療を行う一方で、『診断精度の向上』、『病態解明』、『新規治療法の確立』をキーワードに炎症性疾患や免疫介在性疾患、循環器疾患など様々な病気の研究を行っています。私たちは「なぜか」にこだわる姿勢を大切に真■に動物と向き合い、臨床をベースにした研究を展開することで、得られた研究成果を臨床現場にフィードバックさせる“臨床と研究のクロストーク”を目指して日夜研鑽に励んでいます。比較病理学教室どういう病気?なぜ病気になるの?当教室の研究は二つに大別されます。一つは、どういう病気か?を明らかにすることです。家庭や牧場や動物園などで発生した動物の病気を診断し、病気の原因を明らかにし、治療や予防に役立てます。二つめは、なぜ病気になるのか?を明らかにすることです。対象とする研究テーマは感染症や腫瘍など多岐にわたります。図は培養神経細胞を用いたインフルエンザウイルスの感染実験で、ウイルスに感染した神経細胞が黄色で示されています。動物分子医学教室生きるも死ぬも膜次第:赤血球、膜蛋白質、遺伝子の生理と病態赤血球の膜は赤血球の生と死に深く関わり、単純な構造であるが故に全ての細胞膜の構造と機能を知る大きな手がかりとなります。赤血球膜を構成する膜蛋白質がどのような仕組みで正常に作られ、どのように相互作用し機能して、どのように赤血球の生と死に関わるのか?私たちの目的は、遺伝性疾患の病態をヒントに、遺伝子、蛋白質、細胞、それぞれのレベルで、これらの■を解き明かして新しい分子理論を作り上げ、生命の基本単位である細胞の基礎構造である生体膜の構造、機能、機能的構築の理解につなぐことです。獣医外科学教室世界をリードする治療技術を目指して当研究室では、獣医外科学に関する学生教育・研究活動を行っています。また、動物医療センターでは整形外科、軟部外科および腫瘍科を担当し、非常に臨床アクティビティーの高い研究室です。当研究室では毎週1回の臨床・研究ゼミおよび症例検討会、月1回の症例カンファレンスなどが行われ、学生は授業を受けるかたわら、動物の診療に積極的に関わっています。一方、研究室内では動物の関節や腫瘍に関する臨床に即した実践的な研究を行っています。このように、多忙ななかでも、夏のキャンプ、冬のスキー旅行など季節感あふれる年中行事も楽しんでいます。繁殖学教室生殖の不思議の解明とフィールドへの応用当教室では家畜胚の体外生産(原始卵胞の培養、体外受精など)や保存(凍結、ガラス化など)、凍結精子の受精能評価など、発生工学に関わる技術の向上や繁殖生理学的研究を行っています。また、野生動物の保護管理のため、これらの繁殖生理学的特徴の解明や人工繁殖技術の適用に関する研究にも取り組んでおり、畜産の発展と自然環境の保全に深く関わっています。研究以外では研究農場での乳牛の繁殖管理(人工授精、分■介助など)や附属動物医療センターでの牛の胚回収や胚移植を担当し、大動物に直接触れる機会の多い教室です。先端獣医療学教室新たなアプローチで臨床獣医学の発展を切り拓く先端獣医療学教室は動物病院専任教員が兼担している、最も臨床現場に近い研究室の一つです。私たちの目的は「獣医療の発展」であり、これを通じて社会貢献や動物福祉の一端を担うべく、日々の診療、教育、研究に取り組んでいます。本研究室では、内科・外科といった診療科の垣根を越えてのコラボレーションにより、今までにない新しいアプローチを試みております。現在取り組んでいる研究課題は、腫瘍の分子標的療法、がん幹細胞放射線耐性の克服、犬の非再生性免疫介在性貧血の病態解析、画像診断モダリティを用いた犬の肝疾患の非侵襲的診断法の開発などです。臨床獣医科学分野

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