北海道大学 獣医学部 学部案内
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衛生学分野Disease ControlPreventiveVeterinaryMedicine10ヒトと動物の感染症をコントロールするために、病原微生物がどこからやってくるのか、どう受け継がれているのか、感染するとなぜ病気になるのか、さらに感染症の診断、治療と予防法を国内外の機関と連携して研究開発しています。特に、本教室は国際獣疫事務局(OIE)が指定する鳥インフルエンザの研究・診断センター(世界に11カ所)の一つであり、動物とヒトのインフルエンザを克服するための国際共同研究を先導しています。宿主(ヒトや動物)は病原体の侵入に対して免疫機構により対抗しますが、病原体は免疫回避・攪乱の方法を多く備えています。このような病原体を防除するためには、病原体のサバイバル戦略に加えて、宿主の免疫機構を解明することが重要です。本研究室では各種動物における感染症の病態解明とその制圧を目指して研究を行っています。一例としては、産業動物(牛・鶏など)における難治性疾患と宿主免疫抑制因子との関連を解析し、新規予防法の開発を目指した研究を行っています。ほかの生き物の体内や体表で栄養を奪って生活している生き物を寄生虫と呼んでいます。すべての動物には寄生虫が住みついていますが、その種類はとても多く、形や生活の仕方はとても不思議です。寄生虫はどのように動物や人に感染するのか?動物の体内で生きられる仕組みは何なのか?なぜ病気を起こすのか?寄生虫自身はどのように進化してきたのか?私たちはこのような寄生虫の■について研究しています。寄生虫やそれを媒介する昆虫やダニを集めに国内外へ出かけることもあります。じつは、地球は寄生虫ワールドなのです。微生物学教室動物とヒトを感染症の脅威から守る感染症学教室病原体に学ぶ 〜生命の知恵とサバイバル戦略〜寄生虫学教室虫と戯れ、その■に迫ります公衆衛生学教室〜自然界のウイルス存続の■を解く〜近年、世界各地で新興・再興感染症として人獣共通感染症(Zoonosis)が発生しています。これらの流行は森林伐採・農地開墾などの地球環境の変化のため、病原体保有野生動物や媒介節足動物と人の接触の機会が飛躍的に増大したことによると考えられています。当研究室ではウイルス性人獣共通感染症の制圧を目標として、自然界における生態・伝播経路と病原性の分子基盤の解明、診断・予防・治療法の開発に関する研究を行っています。獣医衛生学教室感染症の克服と未知なるものの探究感染症の克服には、病原体の性質、伝播様式および発病機構を理解して、被害を最小限度に留めるための対策の立案、予防・治療法の開発を進める必要があります。当に「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」です。獣医衛生学教室では、致死性の神経変性疾患であり、人獣共通感染症であるプリオン病の神経変性機構の解明、治療法の開発を進めています。また、食品を介して人に病気を起こす病原体や、対策が進んでいない動物感染症の発生状況の調査、診断法の確立に取り組んでいます。問題の本質を見据え、知的好奇心を原動力とする深化型探究と、社会貢献を目指す応用研究を通じて、深い専門性と広い視野を持つ、次世代を担う人材を育てています。病原制御学分野

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