北海道大学 獣医学部 学部案内
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History2012(平成24)年には帯広畜産大学畜産学部との共同獣医学課程(VetNorth Japan)が設置され、お互いの大学の特徴・強みを生かした獣医学教育を共同で実施する我が国随一の獣医学教育体制が構築されました。さらに 2019(令和元)年には共同獣医学課程が実施する獣医学教育プログラムが欧州獣医学教育機関協会(EAEVE)の完全認証を取得し、欧米水準の教育プログラムであることが認められました。Chronology札幌農学校を開校カッター博士来日獣医学の専門教育を開始獣医学講座を開設畜産学科第二部を設置農学部獣医学科を開設獣医学部として農学部より独立大学院重点化による改組を実施人獣共通感染症リサーチセンターを新設帯広畜産大学畜産学部との共同獣医学課程の設置動物病院(動物医療センター)を新築欧州獣医学教育機関協会(EAEVE)の完全認証取得21910(明治43)年に獣医学講座が開設さ北海道大学(北大)における獣医学教育の歴史をたどりますと、札幌農学校の設立当初にまでさかのぼることができます。札幌農学校では、学生たちに教養科目、農学諸科目とともに獣医学を教育することが決まっていました。札幌農学校での本格的な獣医学の専門教育はカッター博士によって始められました。カッター博士は1878(明治11)年に来日され、1880(明治13)年から獣医学の専門教育を開始されました。なお、ハーバード大学医学部を卒業された同博士は医学、水産学をも講じる一方、英語、英文学も担当するという多彩な才能の持ち主でありました。れ、1913(大正2)年には獣医学部の前身、畜産学科第二部が設置されました。この年、後にウサギの耳に世界初の人工がんを作ることになる市川厚一博士が動物医療センターは1912(明治45)年に家畜病院として開設され、わが国における酪農畜産や家畜診療の指導的役割を果たしてきました。1964(昭和39)年、当時としては東洋一の家畜病院として現在地に新築されましたが、その後老朽化が進み1994(平成6)年に大改修が行われました。2002(平成14)年、獣医学部附属施設から大学院獣医学研究科附属施設となり、2006(平成18)年には家畜病院から動物病院という名称に変更されました。さらに2013(平成25)年には旧動物病院より、新動物医療センターに移転いたしました。動物医療センターは、12の診察室、カウンセリングルーム、5つの手術うさぎの耳の人工がん標本卒業しています。1949(昭和24)年に農学部獣医学科となり、平戸勝七教授の尽力で、1952(昭和27)年には獣医学部として農学部より独立しました。当時の他の国立大学では、農学部獣医学科で獣医学教育が行われており、北大獣医学部は国立大学唯一の獣医学部でした。学部設立当初から、米国型の臨床のみに重きをおいた教育方針は採らず、わが国の実情に応じた教育体制として、動物生命科学全般にわたる基礎研究の講座をも併設し、高度の教育・研究レベルを維持してきました。北大獣医学部のこうした研究理念がわが国の獣医学全般に与えた影響は少なくありません。室、歯科治療室、3つの超音波検査室、2つのX線検査室、CT検査室、MRI検査室、低エネルギー放射線治療室、高エネルギー放射線治療室、化学療法室、内視鏡検査室、集中治療室(ICU)などが完備され、地域の中核病院としてのニーズに応えられるよう整備されております。伴侶動物としての犬や猫が長寿になってきているのを反映して、老齢性疾患(慢性心疾患、消化器疾患、腫瘍、内分泌性疾患、慢性皮膚疾患など)の診療が多く、高度な外科的処置が必要とされる疾患も増えてきており、地域における二次診療施設としての役割を担っています。また、教育病院として学生の臨床教育ばかりでなく、臨床獣医師1876年(明治9年)1878年(明治11年)1880年(明治13年)1910年(明治43年)1913年(大正2年)1949年(昭和24年)1952年(昭和27年)1995年(平成7年)2005年(平成17年)2012年(平成24年)2013年(平成25年)2019年(令和元年)および海外からの研修獣医師の卒後教育の場としても活用されています。さらに、高次画像診断法、疾患遺伝子の遺伝子解析およびその検出法などの診断技術の開発、疾患の発症機序の解明とそれに基づく新規治療法の開発、動物に負担の少ない抗腫瘍療法、疾病発生予防のための対策確立とその指導など、多方面からの臨床獣医学的研究にも活用されています。動物医療センターの沿革・概要獣医学部の歴史トランスレーショナルリサーチ推進室当推進室は附属動物病院に所属し、「人と動物の病気の共通性から、医学・獣医学の連携は双方の健康の向上に繋がる」とするZoobiquity(汎動物科学)の観点から、医学系と獣医学系領域の一層の連携を目指しています。これにより、基礎研究における優れた成果を次世代の革新的な診断・治療法の開発に繋げます。また、逆に獣医臨床的視点から得られる知見を見逃さず、それを基礎研究の発端とする“リバーストランスレーショナルリサーチ”の発展も目指しています。

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