School of Engineering, Hokkaido University 2021-202213│私は現在、株式会社日立製作所において、先端材料に係わる研究開発に従事しています。日立グループでは、多種多様な工業製品を開発しています。私は入社後、ハードディスク、変圧器、産業用インクジェットプリンタなど、様々な製品の材料開発に携わってきました。北大在学時は材料が発現する基本的な物理現象を研究対象としており、現在のような製品開発に直結する仕事は、大学時の研究と大きく異なります。しかし、全て製品の研究開発において、北大で学んだ応用物理学を中心とした知識・経験が生きています。新製品開発や、既存製品の性能向上を図るためには、その製品が「どのように機能を発現するか」を深く考察することが必要です。そして、このようなメカニズムを考察する学問が応用物理学だと私は思います。近年、工業製品におけるAI・ビッグデータ活用が進んでいます。利便性が上がっていく一方で、物事のメカニズムを考察できる人が少なくなっていくように思います。そのため、ますます応用物理学者の価値が高まっていくと私は思います。ぜひ北大で様々なことを学んでください。部活やアルバイトなども含め、大学時代のさまざまな経験が皆さんの未来に繋がっていくと思います。応用物理工学コース研究室紹介トポロジー理工学研究室物性物理工学研究室結晶物理工学研究室ナノバイオ工学研究室會田 航平さん株式会社日立製作所 研究開発グループ テクノロジーイノベーション統括本部 材料イノベーションセンタ先端材料研究部2006年3月 工学部 応用物理学科 卒業2008年3月 大学院工学研究科 応用物理学専攻 修士課程 修了2011年3月 大学院工学研究科 応用物理学専攻 博士後期課程 修了▶電子が作るらせん構造−カイラル電荷密度波−トポロジーとは、連続変形では変わらない性質に着目する概念です。私たちは、トポロジーを切り口とした新しい固体物理学を展開しています。リングやメビウスの帯などの結晶の形や、電子分布についてのトポロジーに由来する特異な超伝導や電荷密度波について調べています。■主な研究テーマ●トポロジカル結晶の超伝トポロジーが拓く新しい理工学教授 丹田 聡│准教授 市村 晃一│助教 迫田 將人▶フラクタル性をもつ臨界点でのパーコレーション構造▶2次元フォノニック結晶中に設けられたL字型導波路における音響波の伝播イメージ教授 矢久保 考介│准教授 浅野 泰寛│助教 小布施 秀明教授 オリバー・ライト│准教授 松田 理│助教 友田 基信複雑かつ不均一、ときには歪みをも有する系が私たちの身の回りには遍在しています。このような系に潜む美しい対称性や普遍性、さらにはそれらの性質に基づく新たな機能を、理論的思考と最先端コンピューティング技術を駆使することによって探求します。■主な研究テーマ●複雑ネットワークの統計的性質 ●フラクタル系のダイナミクス ●臨界系の秩序と揺らぎ●異方的超伝導体の量子輸送現象●トポロジカル絶縁体・超伝私たちは最先端光・音響技術を駆使し、ナノメートル波長の超音波を用いた新しい顕微鏡技術を研究しています。従来の光学顕微鏡では観察困難な細胞や集積回路内部のナノスケール構造を新型顕微鏡で調べ、生物、物理、化学にまたがる科学の発展を目指します。■主な研究テーマ●時間分解2次元超音波イメージング ●フォノニック結晶●音響メタマテリアル●THz超音波 ●超高速分光 ●原子間力顕微鏡導体 ●不規則電子系における量子相転移の臨界現象http://kino-ap.eng.hokudai.ac.jp/j-index.htmlグラフェン・カーボンナノチューブ・半導体量子構造など、新奇物質の電子物性の理論研究を推進します。特に、電気伝導や光学応答などの電磁応答の定量的評価を行うとともに、新しい機能性(物理的応用)に繋がる新現象を探求します。■主な研究テーマ●グラフェン・カーボンナノチューブの輸送現象と光学応答●2次元電子系の非平衡現象とスピントロニクス●新奇的なナノエレクトロニクス材料の探索▶グラフェン(単層グラファイト)をチューブ状に丸めたカーボンナノチ超流動液体から生じるヘリウムの結晶化は非常に速く進行する。これは通常無視されているような微小な駆動力により、結晶形が敏感に変化し、特異な振る舞いを見せることを意味する。様々な非平衡環境で量子結晶を可視化し、未知の結晶化過程を探求する。■主な研究テーマ●ヘリウム量子結晶●超流動ヘリウムの流体力学●音波を用いた量子物質の駆動●準結晶の構造物性時に神のなせる技としか思えないような数々の生命現象も、実は美しくかつ巧妙に制御された物理法則で成り立っています。当研究室では、先端技術を駆使して、原子レベルから細胞までのマルチスケールにおいて、一見複雑に見える生き物の神秘を解き明かすことを目指します。ューブの概念図▶超流動液体中を落下するヘリウム結晶教授 野村 竜司|准教授 高倉 洋礼|助教 柏本 史郎教授 郷原 一壽│准教授 内田 努│助教 山崎 憲慈電子論に基づく新奇物性の探求教授 明楽 浩史│准教授 鈴浦 秀勝│助教 江上 喜幸ナノバイオテクノロジー─分子、原子を観る▶グラフェン上の原子・分子イメージング│卒業生からのメッセージhttp://exp-ap.eng.hokudai.ac.jp/導ボルテックス状態●カイラル電荷密度波 ●階層的超伝導ネットワーク●観測的宇宙論による銀河の運動の研究−トポロジカル重力理論−●電荷・スピン秩序のSTM観察数理物理工学研究室http://subutu-ap.eng.hokudai.ac.jp/量子機能工学研究室http://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/tssp/https://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/crystal/量子物質が見せる特異な結晶化http://labs.eng.hokudai.ac.jp/labo/NanoBio/■主な研究テーマ●グラフェンを応用した生体1分子観察●原子分解能イメージング手法の開拓●生体分子と水の相互作用●水の構造化による細胞保存制御未来へと続く道は、研究室から始まる。物理学を応用して社会に役立てる。物理的アプローチで生命の根源に迫る。ナノ構造の新しいフィールドを拓く。世界を変える発見が、待っている。複雑さに潜む美の探求光と音と物質の物理学応用物理学研究者が社会を牽引するLaboratoryinformation未来を拓く知が集まる未来に挑む先輩がいる
元のページ ../index.html#14