北海道大学 教育学部 学部案内
13/38

12職業能力形成論  駒川 智子 人生の中で、働くことに費やす時間はとても長いですし、お金を得るだけではなく、やり甲斐など大きな意味を持つものです。 学問として労働の研究に触れておくと、職場で何か理不尽だと感じた時に、その理由や制度の問題を読み解く力が付きます。 また、解決方法や相談先もわかります。 仕事でも生活でも、その人個人の良さが活かされる社会へ。そのために、社会への影響力が強い企業の特に雇用管理にメスを入れようとしています。 大学は経済学部に進学。実家が商売をしていた影響から、自分も起業するか、専門職に就こうと考えていました。 とにかく女性であっても自立して生きていけるよう、自分でお金を稼ぎたいと思っていました。 しかし卒業前にバブルが崩壊。 するとどんなに優秀であっても女子学生たちの就職が決まらないという現実を目の当たりにしたのです。 男子学生は就職が決まっていく。はっきりと男女差別がありました。 また、大学3年生の時に受けた社会政策の授業で、日本企業の雇用管理に男女差別が含まれていることを知り、憤りを感じました。 この問題を知らないで社会に出て行くわけにはいかないと思って大学院に進学し、修士課程では、社会政策の領域で研究をしました。学びのキーワード:労働、ジェンダー   博士課程に進学して研究者になることを決めたきっかけは、阪神淡路大震災です。 この時「一度しかない人生。自分が本当にやりたいことをやろう!」と思いました。 博士課程では、社会構造だけでなく、人を重視した研究ができる社会学を選びました。 博士課程修了後、北大教育学部の教員となりました。 学問分野は経済学、社会学、教育学と移り変わっていますが、一貫して労働とジェンダーの問題に取り組んできました。 教育学の立場は、「人を管理する」ではなく「人を育てる」という視点がより強いことが特徴かもしれません。 さらに今後は、ジェンダーだけでなく、外国籍スタッフなどを含めたダイバーシティマネージメント、インクルージョンという視点で研究を広げていきたいと思います。 教育学部の卒業生が民間企業に就職した場合、現場を経験しながら高い割合で人事部に配属されます。 人が好きな人の多い教育学部生ならではで、気持ちよく働いてもらうための雇用管理や研修への知識や意欲が高いと聞きます。 世の中が大きく変わろうとしている今、何が正解ということはありません。 自分がどんな人生を生きるかを自分で考えて、行動できる力を身につけてほしいと思っています。卒業論文テーマの検討会の様子※左ページの写真で後ろに見えるのは、見学に行った染工場から贈られた大漁旗工場見学の様子男性も女性も「良い仕事」ができて自分の生活も大切にできる社会を考える

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る