北海道大学 法学部 2023
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①法学史②受験が済んだら歴史なんておさらばと考えているあなた。歴史は干からびた暗記科目ではなく、「今、何が問題なのか」を見つけ出す学問です。2000年以上に及ぶヨーロッパ法の歴史を手がかりに、あなたも「今、何が問題なのか」を一緒に考えてみませんか。③大学入学は「ゴール」ではなく「スタート」です。①法社会学②広い視野で社会における法、生活における法を考察するための手がかりを与える授業を心がけています。③大学生としての特権は俗世で遊ぶ時間を得ることではなく俗世を離れて思索する自由を得ることにあります。■世界はグローバル化し、環境問題や資源・エネルギー問題は国境を越えて複雑に拡がっています。その解決のためには、国際法と国内法、法と政策、社会科学と自然科学が協働し、答えを見つけねばなりません。例えば、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)報告書を踏まえ、気候変動枠組条約・パリ協定を、日本社会の法と政策でいかに受けとめて脱炭素を推進するか。また、持続可能な漁業のための法的枠組み(中西部太平洋マグロ類保存条約など)に、漁業・魚食大国の日本はどのように関わっていくのか。北海道大学を拠点として、法学・政治学と生態学・水産科学などの研究者が協働し、文理融合の学際研究を進めています。児矢野 マリ 教授(国際法)■人が生きていくためには、食糧の持続的な確保が欠かせません。グローバル化した経済のなかで、「誰一人取り残さない」ように食糧を供給することは人類規模の課題です。そこで私たちが考えているのは、農業の担い手と農地をどう確保するか、食品の安全・品質についての認証基準はどうあるべきか、ブランド(例、夕張メロン)を保護するために知的財産権をどう活用すればよいか、巨大企業による「種子の支配」にどう対応すべきかなどの問題です。農業を持続可能なものとするために、どのような法制度が効果的かつ公平なのか。日本の食糧基地ともいわれる北海道で、法学部と農学部の研究者が協力して取り組んでいる学際研究です。 曽野 裕夫 教授(民法)教授水野 浩二教授尾﨑 一郎教授会沢 恒①比較法・英米法②現代アメリカ法の諸側面について検討を加えています。これまでの所、契約法、懲罰的賠償制度、連邦制等について分析してきました。「あたりまえ」と思っていることが必ずしも「あたりまえ」ではない、我々と違うやり方がそれはそれで合理的なものである、そのような視点を提供することを心がけています。③大学時代の4年間は、life(生活/人生)の幅が大きく広がっていく時期でもあります。皆さんが数多くの事柄にチャレンジすることを期待します。願わくは北大のキャンパスで。准教授森 悠一郎①法哲学②私の教える法哲学では、皆さんが当たり前だと信じている正義観・道徳観が、本当に論理的に一貫したものかどうかを強く揺さぶります。「常識」が崩れ去っていくことの知的刺激を存分に味わってみてください。③これから北大で学ぶことを世の中のために使おうと、己の地位と欲望を満たすためだけに使おうと、皆さんの自由です。いつの日か理不尽な差別を自分の目で見て、「何とかしなければ」という思いが(「偉い」先生のお説教を聴いたからではなく)自然と込み上げてきたとき、大学で学んだことを役立てていただければと思っています。准教授徐 行①比較法・アジア法②中国と台湾の司法制度を中心に日本と比較しながら研究を進めています。③異なる政治体制が法や司法の在り方に極めて深い影響を与えるため、日本的常識がけっして世界の常識ではなく、法や国家、社会構造は多分に相対的なものであることを前提に大学での勉学に臨むと、新しい発見に遭遇できるかもしれません。准教授郭 薇①法社会学、法情報学②「悪口を言うな」という法規定だけを作っても、直ちに全ての悪口が消えることはないでしょう。法社会学とは、「ルールを守る=正しい」といった評価から一旦離れて、なぜ、どのように法を使っていくか、法とそれ以外の社会規範がどのように関係しているか、広くルールというものについて考える学問です。③北大キャンパスの豊かな自然の中で、いろいろな学問と人と対話しながら、将来の自分と社会のルールを探求してみませんか。18環境問題と持続可能な資源管理を、北海道で考える北大法学部SDGs

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