私の専門は会計学です。といっても、一般にはなかなかイメージがわきにくい学問かもしれません。お金の計算ばかりしている、というイメージがあるかも。しかし、実際はそうではありません。 ●● お金は、経済にとっては人体の「血」にあたるものです。お金の流れを追えば、経済の動きも、あるいは企業経営の動きもみることができます。これを利用して、お金の流れから経済や経営の動きをみるのが会計学ということになります。その意味では、お金のことだけを知っていても会計学がわかるわけではありません。昔、私は自分の先生から、「会計学は雑学だよ」といわれたことがあります。そのときはよく意味がわからなかったのですが、つまりは、会計学のまわりにある様々な社会現象に関心を持たないと会計学はわからないよ、ということだったのですね。それを正直に守っているわけではありませんが、実は私も会計学以外(?)のいろいろなものに関心をもって首を突っ込んでいます。そのうち代表的なのはLRTでしょうか。LRTとは、路面電車のような小型の鉄道のことで、経済的で環境にやさしい未来の都市交通と考えられています。要は鉄道好きがこうじて、ボランティアの市民団体をつくったりしたところから始まったのですが、今ではLRTや北海道新幹線の問題などで、意見を求められることも多くなりました。この面では、実は私は会計学が専門だって知らない人もいるのではないかな。大学で勉強しようとするみなさんには、あまり専門に凝り固まらずに、広い視野で様々なものに関心を持つことを薦めたいですね。まったく関係のないものごとのように思えたことが、意外に関連していたり、発想のヒントになってくれることがあります。パスに様々な関心を持つ人が同居しています。それらに触れられる機会が与えられているのは、この大学の大きな魅力です。意外に聞こえるかもしれませんが、私にとって会計学はその真ん中にあって、様々な物事をみわたすツール(道具)になってくれています。北大は「総合大学」ですから、同じキャン10ゼミ生から一言松崎 修明富山県・富山高校卒業 吉見ゼミは会計学を学ぶだけでなく、それらを使って社会を読み解く力を得られるゼミです。毎週、学んだ知識を活かして会計に限らない様々な社会事象を議論・検討するうちに、自然と物事を考えるうえでの視野が広がっていきます。難しい問題や良く知らない分野の話でも吉見先生が身近な例え話を使って、分かりやすく教えてくださいます。勉強以外の悩みでも相談できる学生思いの先生です。 もちろん勉強ばかりでなくディベート大会・野球観戦・ゼミ旅行・OB会などのイベントもたくさんあり、ゼミ生として過ごす二年間は間違いなく楽しいものとなると思います。 一度しかない大学生活を吉見ゼミで過ごすことができて本当に良かったです。●吉見ゼミ会計学吉見 宏 教授 プロフィール 長崎市出身。1985年九州大学経済学部卒業。同大学大学院経済学研究科修士課程を経て、同研究科博士課程単位取得退学。博士(経営学)。1991年北海道大学経済学部講師、2004年より現職。2012年4月〜2016年3月学部長。主著に『企業不正と監査』、『監査期待ギャップ論』など。
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