北海道大学 経済学部のすべて
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安部由起子教授← たとえば2007年に出されたゴールドマン・サ●労働経済学(米国)でPhD.(Economcs2005年より北海道大学大学院経済学研究科助教授。2009年より現職。ックスのレポートでは、日本のGDPは女性の就業率の上昇によって大幅に上がると指摘し、この数字は国際的な会議で取り上げられもしました。このとても大きな数字が正しいかどうかはともかく、日本の中で女性の就業率に大きな地域差があることは、それほど知られていません。25〜セントでしたが、日本海側地域(山形、新潟、富山、石川、福井、鳥取、島根)では77パーセントでした(2007年就業構造基本調査)。したがって、国際比較で観察される就業率の差と同程度の地域差が、日本の国内で存在していることになります。そして、女性の就業率には大きな地域差がある一方で、男性の就業率の地域差は女性よりもずっと小さいこと、さらに、日本海側地域におけるこの高い女性就業率は、子どもを持つ有配偶女性が正社員として就業する割合が高いことによっており、有配偶女性のパート就業や、無配偶女性の就業の地域差は小さいこと、もデータから確認できます。日本では仕事と家庭の両立が難しいと考えられていますが、日本海側地域では、家庭責任が最も高い女性(子供を持つ有配偶女性)が、正規雇用の仕事(労働時間の自由度が少ない仕事)に従事し、高い就業率を実現させていることになります。少し視野を広げて、日本以外にも目を向けてみましょう。女性の就業率に地域差があることは、米国や、ヨーロッパでも同様です。特にヨーロッパでは、北欧の国々と南欧の国々では女性の就業率が異なることは、よく知られています。グローバル化が進めば、女性就業率の地域差は縮小するのでしょうか?経済学部で学ぶことの魅力の一つは、経済学という学問が、グローバルな視点をもっていることではないかと思います。また、経済学の多くの部分は、英語で勉強することも可能です。いうまでもなく、英語力はグローバル化時代にもっとも重要なスキルのひとつです。英語で経済学を勉強すれば、経済学を学びつつ、同時に英語力も磨くことができるわけです。グローバル化の時代に広い視野で世界を見てみたい方、多様な見方を身につけたい方、経済学を勉強してみませんか?グローバル化時代における女性の就業率プロフィール 1987年東京大学経済学部卒業。1994年プリンストン大学大学院.i 5)。名古屋市立大学、亜細亜大学経済学部助教授を経て、私の現在の中心的な研究テーマは、女性の就業率がなぜ、地域間で大きく違うのか?に関することです。女性の労働力を活用することが、日本の経済成長のためには重要であるという議論があります。← 54歳の女性の就業率は東京で62パー

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