経済学の思考パターンに議論をのせる経済学の素養を身に付けること、それが須賀ゼミの目標です。そのために、一年目は主として文献講読を通じて経済学の思考法を学びます。そして、二年目からは各自で決めた研究テーマに取り組み、それを通じて経済学的な思考を実践する能力を養います。教科書に書かれた内容を理解するだけでなく、経済学の思考パターンにのせて議論を展開できるようになること、それがこのゼミの目標です。一年目の文献講読では、ミクロ経済学やゲーム理論など、いわゆる基礎理論と呼ばれる分野の教科書を輪読します。報告者は担当範囲の内容を要約した配布資料を作り、それに基づいて報告します。報告内容にわかりにくい部分がある場合には、質疑応答を通してゼミ全体で共有し、議論することによって理解を深めます。こうして一年目はプレゼンテーション能力を磨きつつ、基礎理論として体系化された経済学の思考法を学びます。二年目に入ると卒業論文に取り掛かります。私の専門である国際経済学に分野を限らず、各自が関心のあるテーマに取り組みます。実を言うと、テーマ選び自体は一年目の後半から始めます。文献講読をする傍ら自らが関心のある分野の先行研究を調べ、次第にテーマを絞り込んでいきます。そして、二年目から本格的な研究を始めます。とは何か?ゼミ●ゼミのルーツ本学部の教育体制の大きな特徴は、ゼミ(演習)を核とした少人数教育という良き伝統にあります。元来、講義と区別される演習という制度の日本における創始者は新渡戸稲造と言われています。新渡戸が札幌農学校の教務部長だった1895年、カリキュラム改革の一貫として、理科系の実験に相当するものとしての演習を文科系の教育にも取り入れたのが最初だと伝えられています。●●i7学問との出会い。友との出会い。師との出会い。皆さんはゼミで、三つの出会いを経験するはずです。ゼミはドイツ語のSemnar(ゼミナール)の略で、英語ではセミナー、日本語では演習といいます。北大経済学部では三、四年生の全員が二年間、自分で選んだゼミに所属します。ゼミは一学年あたりの定員が四〜七名と少人数です。そこでは、各自の研究テーマについて、活発な議論がおこなわれます。与えられた学問ではなく、自分自身が興味を持ったことを深く掘り下げて研究するところ、それがゼミなのです。ゼミで出会い、二年間ともに議論をたたかわせた同期生や先輩や後輩は、大学卒業後も利害関係抜きでつき合い続けられる、本当の友人です。そして、専門分野のエキスパートであり、しかも個性的で魅力的な教授たちとの出会いは、皆さんの学生生活をもっとエキサイティングなものへと導いてくれることでしょう。経済学部のゼミで、あなたもわくわくするような出会いをしてみませんか?プロフィール 名古屋市出身。1999年富山大学経済学部卒業。2004年名古屋大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。2006年より北海道大学大学院経済学研究科助教授。近著に“Trade and the Environment: Spatial Separation under Product Differentiation”, co-authored with Makoto Tawada, The International Economy, 14, 2010.ゼミ生から一言藤井 美帆宮城県・仙台第二高校卒業 須賀ゼミでは主にゲーム理論を学んでいます。ゼミ生の人数はとても多く(経済学部最多?)、毎回にぎやかにアットホームな感じで行われます。ゼミの発表では、わからない点・疑問に思った点などを、須賀先生が発展的な内容も絡めながらわかりやすく説明してくださいます。 このゼミを一言で言い表すならば、「自主性が試されるゼミ」という言葉がぴったりだと思います。他のゼミと比べると、授業時間を短く設定しているため、その分自由に使える時間を自分の趣味に打ち込んだり、体育会所属のゼミ生は部活に勤しんだりと、様々な点において「自分らしさ」を磨くことができるゼミだと胸を張って言えます。●須賀ゼミ国際経済学須賀 宣仁 准教授
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