北海道大学 医学部 保健学科 2022年度版
14/18

Division of NursingDivision of Radiological Technology14 足浴は、足をきれいにするだけでなく、皮膚の温度を高めたり、循環を促したりする効果があります。足をたくさんの石鹸の泡で包み込む泡を用いた足浴は、洗う摩擦を抑えながら皮膚の汚れを取ることができることなどのメリットがあると言われていますが、通常の温湯の足浴と比べ保温効果がありません。そこで、蒸しタオルを用いて温めながら実施する泡の足浴の皮膚表面温度と温かさの感覚への効果を検討することを目的として研究を行いました。健常成人6名を対象に、通常の温湯による足浴と比較するクロスオーバー試験を実施しました。その結果、泡の足浴は、温湯の足浴に比べ実施直後の皮膚温の上昇は抑制されたものの10分後、20分後では温湯の足浴と同等の変化であり、温かさの感覚も保持されていました。これらの結果より、泡の足浴に蒸しタオル併用することで皮膚温低下を防ぐ可能性が示唆されました。 IVR(Interventional Radiology)は、体内にカテーテルなどの器具を挿入し、画像誘導下に治療を行う方法であり、日本における死亡原因の多くを占める脳梗塞や心筋梗塞等の循環器疾患に対して非常に有効な手技である。しかし、X線透視下で治療を行うため、長時間のX線被ばくによる皮膚障害が懸念されている。また、近年医療被ばくの適正化が進められており、被ばく線量を管理するために臨床現場では簡便性とリアルタイム性が求められている。当研究室では、リアルタイムに皮膚被ばく線量を測定可能であるSOF線量計「MIDSOF」を開発したが、現行のシンチレータ原料が入手困難になり、新たなシンチレータ材料の開発が急務となっている。そこで、シンチレータレジン基材に添加する蛍光体濃度を変化させて、従来のシンチレータプローブ(以下、標準プローブ)との比較を行った。結果、感度、エネルギー依存性について標準プローブと同等のものが得られ、低管電圧領域において、標準プローブよりもエネルギー依存性が改善された。また、線量線形性、線量率依存性は良好で、残光現象の影響が改善されていたため、標準プローブよりも高性能なプローブを作成できることが示唆された。 4年次になると、各専攻の特徴を踏まえた「卒業研究」に取り組み、その内容を論文形式にまとめます。 ここに掲載されている「卒業研究」は、保健科学における新しい研究課題を積極的に開拓し、優れていることが認められ、「北海道大学医学部保健学科卒業研究優秀賞」が授与されたものです。図1 SOF線量計の概略図図2  各蛍光体濃度における70kVにおける標準プローブとの感度比と相対標準偏差佐々木 愛金澤 聡志Graduation research in the 4th grade卒業研究看護学専攻放射線技術科学専攻皮膚被ばく線量計MIDSOFのための温罨法を併用した泡の足浴と温湯による足浴の比較:皮膚温と主観的評価新しいシンチレータ材料の開発

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る