北海道大学 文学部 2024
26/46

25指導教員からの評価佐野 勝彦 准教授(むろい さつき)哲学・文化学コース(令和3年度卒業)室井 沙月 さん卒論テーマ他の卒業生の卒業論文への取り組みはウェブサイトでお読みください。卒業論文執筆には知的好奇心に加えて先行研究をフェアな仕方で噛み砕く知的な基礎体力も不可欠です。地道な作業で英語文献を読み解いた力作です。[テーマを決める] 私の卒論では、ある科学的な命題とその対偶(同値になるはずの命題)の確からしさが一致しない場合に生じるパラドクス(確証のパラドクス)について、「すべてのカラスは黒い」という例を用いて、このパラドクスをできるだけうまく解消するまでの道筋を示すことを目指しました。科学的な推論に関する問いを論理学の手法で検討するため、科学哲学と論理学の中間に位置するテーマ設定にも惹かれました。哲学倫理学研究室[情報を集める] 3年生の9月から授業とは別に、指導教員の佐野勝彦先生と定期的に科学哲学の基本的な教科書を英語で読み、同時に先行研究の行間を埋めてさらに深く理解するための方法を学びました。5月初頭に内部進学者向けの大学院特別入試を受けた後は、この研究分野の最も基本となる論文を11月までかけて佐野先生との面談を活用して証明の穴埋めをしつつ全訳して、卒論の執筆に取りかかりました。証明が必要な部分を洗い出す方法や言い換え・要約の仕方について佐野先生から丁寧に指導していただき、修士以降の研究に活かせるような構想の立て方なども大変参考になりました。[書き上げる] 議論の本筋に肝要な部分だけを取捨選択し、自分の言葉で構成するというのはかなり難しかったです。先行研究の読解が思うように進まず、肝心の卒論を推敲する時間が限られてしまいましたが、自分なりのゴールには近づけたと思います。卒論には論文の推敲だけでなく進行状況や時間管理をも推敲する能力が求められます。書き上げていく過程で、今後大学院で研究を進めていくための基礎体力がつきました。case 01確証のパラドクスの批判的分析4年間の学びの集大成卒業論文への取り組み■■■■

元のページ  ../index.html#26

このブックを見る