茨城大学農学部2020
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6マウスを使って「こころ」と「栄養」の関係を科学する豊田 淳豊田 淳教授▶設問1 先生の研究について教えてくれませんか?  現代社会にはいろいろなストレスがありますが、日本でも「こころ」の不調を訴える人が増えてきています。しかし、同じようなストレスにさらされても、平気な人と病気になってしまう人がいます。これはストレスへの耐性が人それぞれであることを意味しています。私たちの研究室では、「こころ」の強さはどこからうまれるのかに関心があり、マウスなどの実験動物を使って研究しています。研究には実験動物の行動観察から、タンパク質などの生体分子の解析まで、あらゆる実験技術を駆使しています。また、日々の生活習慣、特に食習慣で「こころ」の不調を予防できるようにするために、「こころ」を強くする農産物や食品を探しています。「こころ」の病を食習慣で予防できるような未来社会の創造に、少しでもお役に立ちたいと考えています。▶設問2 先生が大学生のころ、研究者になりたいと思ったきっかけを教えてください  小学生ですでに研究者、特に魚類学者になることを決めていたので、ある意味、早熟でした。小学生の頃の私は、魚を釣ったり、飼ったりすることが大好きでした。一日中、水槽の前に張り付いているので親は心配していましたが。中学生の頃はインド音楽などの民族音楽にはまって、短波放送から聞こえてくるシタールやタブラの音にしびれてました。なので、インドやアフリカにあこがれて、文化人類学者になりたいと思ったこともあります(今でも憧れます)。高校生と浪人生の頃に通っていた予備校の生物の先生が分子生物学を専攻された方で、分子生物学の魅力を叩きこまれて、やはり生物学、特に動物の行動と分子生物学の勉強をしたくなりました。もともと小さい頃に魚が好きになったのも、その行動が面白かったからです。▶設問3 先生にとって茨城大学農学部って? 私にとっては夢のような環境です(笑)。ずっと自分がやりたいテーマを自由に研究してきましたし、今でも自由にやっています。赴任した当時は、研究費獲得や研究環境に苦労したこともありましたが、周りの教職員の方々や学生さんに支えてもらいながら、かなり充実した研究室に成長させることが出来ました。博士号もコンスタントに出せるようになりました。また、ここの特長としては研究室の垣根が低いことでしょうか。異分野の先生と飲んだときにその場で盛り上がって共同研究がスタートしたりします。筑波研究学園都市の研究者ともたくさん共同研究をさせてもらっていますが、こんな優れた研究環境はめったにないのではないかと思います。学生さんにはこの優れた環境を十二分に活かしていただきたいと思います。

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