茨城大学 農学部 2021
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10水の流れを調べてバランスのとれた水の使い方を科学する前田滋哉准教授准教授▶設問1 先生の研究について教えてくれませんか?  河川や水路を対象に、水環境をどのように保全すればよいか研究しています。水は飲み水だけでなく、農業や工業、発電やレクリエーションにも使われます。それぞれにふさわしい水の量や質が必要です。また、水中には魚や昆虫、水生植物をはじめとした多様な生物が棲んでおり、これらを守ることも大切です。水環境は大変幅が広く複雑なので、私は農業と生物と水の関係に絞って研究しています。例えば、水の流れを予測することで、コメや野菜をしっかり作るために水路の水を使いつつ、水路の魚にとっても好ましい環境を創るにはどうすればよいか考えています。そのため、農業水路で水の流れの速さや深さを測ったり、土砂が堆積している様子を調べたり、コンピュータで水の流れ方を再現したりしています。▶設問2 先生が大学生のころ、研究者になりたいと思ったきっかけを教えてください 小学生の時には、テレビで、起こった出来事の本質について解説してくれる人に憧れていました。その後、大学4年生になって卒業研究テーマが与えられました。テーマに関して自分で本や論文を探し、理解しようとしていると大変心が静まり、こういう生活が一生できるといいな、と強く思いました。大学院では川の水質を表す指標値を計算するプログラムを先輩からいただきました。実際に測った値と計算値がよく合うので、衝撃を受けました。また、指導してくださる先生が全力で研究されている姿に感銘を受けたこともきっかけの一つです。▶設問3 先生にとって茨城大学農学部って? 農学部で働いていて一番嬉しいのは、ゼミの学生さんが自主的に研究を一歩進めた時です。研究は授業と違い、学習範囲が決まっていません。問題設定から始める必要がありますし、正解が何かもわかりません。霧の中を進むようです。しかし、卒業研究では最初「何をすればいいんですか」と言っていた学生さんが、次第に研究結果をまとめる方法を身につけ、やがて自分なりに考察するようになります。こういう学生さんの姿を見て、毎年、成長したな、と感じます。あとは、研究内容を自由に決められるところが素晴らしいです。もちろん、学部の教育目標に沿うテーマにしていますが、興味のあることで自分の理解を深め成長していくことができるので、感謝しています。

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