茨城大学理学部
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 私は高校時代に教職(高校理科)に就くことを志望していたので、理学について深く学ぶことができ、かつ教員免許が取得可能である理学部学際理学コースへ入学しました。その後、大学生活を送る中で紆余曲折あり、博士前期課程(生物科学コース)へ進学、そして当時志望していた教職ではなく日本赤十字社へ入社しました。 自己紹介はざっとこんな感じです。未来ある高校生のみなさんへ何を伝えよう、、、と悩みながらこのコメントを書いているのですが、カッコつけたことを堅く書いてもただの自己満足で終わってしまいますので、私の学生生活ありのままを正直に書きますね。 まず、私は学部での4年間、いかにたくさん遊ぶかということしか考えておらず、自分の将来をきちんと考えることはできていませんでした。遊びにふけっていた中で大学4年の就職活動時期を迎え、その時になって、「本当に自分は教師になりたいのか?」 私は高校3年時の「すべての科学は化学だ!」という謎のひらめきによって、2016年に茨城大学化学コースに進学しました。大学で化学を志すならば爪痕を残したいと考えた私は、生意気にも大学入学前に「研究成果を世界に向けて発表する」という壮大な目標を立てました。しかし、研究室配属前までこの目標を忘れ去っていた私は、講義や実験よりもサークルやアルバイト、趣味を優先し、模範的とは言えないとても充実した生活を過ごしました。そんな私も学年が進むにつれて化学への興味が高まり、その中でも特に有機化学に興味を持ちました。そのため、学部3年後期の研究室配属では、有機化学研究室への配属を希望しました。 無事、希望する研究室に配属された私は、有機化学のあまりの面白さに、サークルやアルバイト、趣味に充「他にやりたい仕事があるんじゃないか?」と思い始めました。周りの友人が就職活動している様子を間近で見ていたこともあってだと思います。その時に私は、学部での4年間、きちんと将来を考えなかったこと、ぼーっと学生生活を過ごしてしまったことをすごく悔やみました。思い返してみれば、これが私の人生の転機だったなと思います。 その後、私は様々な選択肢を検討したうえで、大学院へ進学することを選びました。ただ、大学院に進学するからには、学部生活での後悔を繰り返すようなことは絶対にしないと固く決意しました。そこから、研究生活に没頭することに並行して、世の中にどんな仕事があるのかを一から調べ、経験することで自分の視野を広げることに専念しました。 そんな想いで過ごしていた大学院生活、とあるきっかけで、被災地の復興支援活動、被虐待児の学習支援等のボランティア活動へ参加しました。当該活動の中で、理不尽な理由で苦しむ方々を目前にし、苦しむ人を救う仕事に就きたいと思うようになりました。これがきっかけで、就職をしたのが現在の勤務先です。 このような学生生活を送ったのですが、結局何が言いたいのかというと、信念をもって学生生活を送ってほしい、ということです。もちろん、遊ぶことを否定しているわけではないです。友人と遊んだこともかけがえのない思い出ですし、そこから学んだこともありました。ただ、学部時代の私は、「これをやりたい!」という信念がなかったのです。学業でも、遊びでも、旅をすることでも、なんでもいいです。なにか信念をもったうえで、充実した学生生活を送ることができれば、きっと見えてくるものがあるはずです。てていた時間をすべて研究に捧げるようになりました。しかし、学部卒業までに結果を残すことができず、目標達成のために茨城大学大学院理工学研究科へ進学しました。大学院ではコロナウイルスの影響で、満足に研究ができない日々が続きましたが、入構できる際には可能な限り実験を行い、外出自粛時には自宅で量子化学計算を用いて研究を進めました。また、感染拡大によって一般化したオンライン化の恩恵を受けて、学会や他大学で開催される勉強会に積極的に参加しました。その結果、2021年度は国際学会発表2件と論文発表を2件行うことができ、6年がかりで入学時の目標を達成することができました。 小中学校と比較して、高校の3年間はあっという間に過ぎ去ったと思います。しかし、私の学部4年と修士2年の合計6年間は、その3年間よりもあっという間の短い時間でした。授業やサークル、研究、アルバイトなど、すべての活動の充実度は、その主体性によって全く異なると思います。ある日の失敗はお酒を美味しくしてくれますし(やけ酒含む)、たった一回の成功は人生を変えるかもしれません。自分の世界は自分を中心に回っています。協力し合いつつも周りに流されず、積極的に様々な事にチャレンジすることをおすすめします。酒井 直樹2019年度学部卒2021年度博士前期課程修了DIC株式会社勤務吉田 祥太2018年度学部卒2020年度博士前期課程修了日本赤十字社勤務

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