茨城大学 工学部 2023
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Keywordカントリーエレベーターの現れ方からみた平地農業地域の空間特性防災まちづくり スマートインフラ 気候変動適応策 建築デザイン 次世代モビリティそこで、私の研究室では、建築都市における人の評価や行動の分析から居心地の良い空間の解明と、建築素材の新しい活用による空間の創造や最小限の素材で空間を形成するための技術開発など、環境と人との両者を横断しながら配慮を両立させる研究をしています。また、分析・検証に基づいた基礎的研究と、そこから獲得した視点を具体的なプロジェクトへと発展させる実践的研究は、建築都市デザインに重要です。実践的研究によって社会との関わりから気付かされることは非常に多くあり、それらが新たな研究へと発展することが多々あります。私はこれからも実社会との関わりから得たことを研究にフィードバックし、それを実社会へ活用するという循環を大切にしたいと考えています。17地方都市における市街地近郊の平地農業地域では、農地を主体としながらも住宅地や商業地が混在し、田園と都市との中間的な景観が形成されています。こうした景観は、我々の日常や地域のイメージ形成に密接に関わる重要な眺めです。本研究では、地域の象徴的な景観要素のひとつである大規模農業施設カントリーエレベーターに着目し、それを環境単位とした眺めの同一性や多様性について建築構成学を応用して分析しました。その結果、いくつかの典型的な眺めを抽出し、景観論的な連続性を評価できました。さらに、これらは田園から都市への過渡的な眺めとして位置づけられることから、農地の多機能化、宅地化、商業化、工業化という地域の営みと変遷に関連づけた空間特性を見出しました。この研究成果は、日本建築学会計画系論文集に掲載されています。増加に伴い航空機遅延が年々悪化しています。本研究では、航空機の出発遅延要因データをもとに、メソ数値気象モデルのデータと航空機の軌跡データを統合して解析することで、出発から到着の全フェーズにおける遅延要因を明らかにする方法を開発しました。その方法により、気象条件や空港・空域の混雑による飛行距離延伸などが、どの程度我が国の航空機遅延に影響しているかを定量的に明らかにしました。これらの解析結果は、今後の航空機遅延軽減のための対策立案のための基礎データとして活用可能であり、我が国の都市間移動の利便性や環境性の向上の一助になることが期待されます。気象と軌跡データを活用した国内航空路線における飛行中遅延要因の推計手法に関する研究都市間の高速移動を支える代表的な社会基盤である空港・航空システムにおいて、航空交通量の到着空港別の要因別総遅延時間の推計結果飛行軌跡と交通混雑による距離延伸の例災害に強く安全な都市、環境にやさしく快適なまち、これらの創造を担う高度な土木・建築融合技術者を養成します注目の研究環境と人の両者にやさしい建築や都市をデザインする熊澤 貴之 教授豊かな都市、豊かな建築とはどのようなものだと思いますか?単に個人にとって快適な空間や美意識を探求する時代は終わり、持続可能な社会の実現に向けて、自然環境や歴史文化といった資源を大切にしながら、環境と人の両者に配慮した建築や都市をデザインすることではないでしょうか。卒業論文セレクション修士論文セレクション大学院都市システム工学科都市システム工学専攻

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