茨城大学 農学部 2025
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昆虫体内をしらべて、ヒトと農作物と環境にやさしい農薬を▶設問1 先生の研究について教えてくれませんか?▶設問2 先生が大学生のころ、研究者になりたいと思ったきっかけを教えてください ▶設問3 先生にとって茨城大学農学部って? 9菊田真吾 准教授 私は特定の害虫のみにみられる生体内の分子や遺伝子のはたらきをしらべています。農薬の標的となるのは、害虫のタンパク質であることが多くあります。ミツバチなどの有益な昆虫にも害虫と同じようなタンパク質をもっていることがあります。こうした農薬は、害虫だけではなく、ミツバチ等に対しても効いてしまう可能性があります。近年は、様々な生物のゲノムや遺伝子情報の多くが共有されてきています。ゲノムや遺伝子レベル、タンパク質の機能をしらべて、狙った害虫だけに効く農薬の作用点に関する研究がしやすくなってきています。目的遺伝子やタンパク質の性質がわかった後、大規模な薬の探索を行います。遺伝子工学的あるいはタンパク質工学的手法を用いて、この探索に用いるツールの開発も行っています。 思い返してみると、研究者になろうと決意したのは、博士研究員(大学院博士課程修了後の研究員)のときで、それまで研究者になろうとは考えていませんでした。大学院修士課程で、研究がとても楽しいと感じました。修士課程と博士課程とでは、研究分野を大きく変えました。理由のひとつは、修士課程までの研究から分野を変えたとしても、博士課程を修了できたら、自分は研究をすることに向いているじゃないかと自分自身が納得できるためで、学生の間は職業として、研究者になることは考えていませんでした。私は若いときから、何かに秀でていたこともありませんでした。だから、「自分は何ができるのか、何をしたいのか」を模索したのが学生のときでした。プロスポーツのような若いときから体づくりを必要とする職業は、難しいかもしれませんが、研究者は、若いときにキャリアを模索する時期があってもよいと思います。 大学は、「正解が用意されていない問い」に対して考え、もっともらしい回答を導き出す場であると思います。とはいえ、大学入学直後から、「正解が用意されていない問い」について考えるのは難しいと思います。茨城大学農学部は、入学してから研究室に配属するまでに、「正解が用意されていない問い」に、取り組めるようなステップが用意されています。卒業研究の進捗は、学生それぞれですが、研究室に配属した学生さんは、「正解が用意されていない問い」に対して、きちんと解をまとめています。中には、学会や投稿論文として発表することもしばしばあります。こういう学生さんたちの成果を発表できることは大事ですが、教員としては、日常の学生さんとの議論や打ち合わせ等の過程がとても楽しく感じます。参考広報記事:https://www.ibaraki.ac.jp/news/2024/01/17012242.html教員紹介

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