岩手県立大学 入学案内2020
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ため込みに関する調査研究心理学が専門の堀内聡准教授は、主にストレスやうつなどメンタルヘルスを研究テーマにしています。平成27年には社会福祉学科の川乗賀也准教授と菅野道生准教授とともに、所属学科を超えて研究チームをつくり、学部プロジェクトとして「ため込みに関する調査研究」を行いました。「ため込み」とは、不要なものの過剰な入手、不要なものを捨てられない、部屋を片付けられない、といった状態のことです。精神医学では「ため込み症」という病気が定義・研究されています。一方日本では、「ため込み」と近い状態である、家の前や室内にゴミが散乱する「ゴミ屋敷」が問題視されているものの、アメリカのように定義されていないことから、福祉の現場で支援できないという課題があります。そこで堀内准教授たちは、平成27年度には、県内の住民アンケートによって「ゴミ屋敷」につながる「セルフネグレクト(生活するうえで行うべき行為を行わないことによって心身の安全や健康が脅かされる状態)」の実態を調査し、翌28年度には、アメリカの「ため込み症」の指標である「HRS」の日本語版を作成しました。これらの調査研究によって、どんな要因が「ため込み=ゴミ屋敷」のリスクになるかがわかり、予防的アプローチへのつながりが期待できます。以前から「ため込み症」を研究していた堀内准教授は、統合失調症や知的障害による「ため込み」についての研究を今後の目標にしています。また、福祉と心理が同じ学部にあるという特性を活かし、福祉分野との連携で社会への貢献を目指しています。川乗賀也准教授、菅野道生准教授と打ち合わせする堀内聡准教授(右)「ため込み」の実態調査のために作成したアンケート「セルフネグレクト」の実態調査のために作成したアンケートEducation and Research27Faculty of Social Welfare社会福祉学部・社会福祉学研究科

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