岩手県立大学 入学案内2023
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脳情報処理に関する研究「技能のデジタル化」「形状入力・操作」の研究人間の脳の中ではさまざまな視覚情報が瞬時に処理・統合され、知覚が作り出されています。例えば、網膜上に映る二次元像を私たちが三次元的に知覚したり、鮮やかな色を認識するのは、脳内のさまざまな細胞の存在・働きによるものです。「実は、『見ているもの』と『見えているもの』は違うんです」と説明するのは眞田准教授。視覚情報がどのように脳内で処理されているかを、脳波計測と心理学実験、深層学習の手法を組み合わせて研究しています。研究には、人間の脳の神経細胞を模して作られた「人工知能」を活用。特にその視覚情報処理は人間の脳と似ているといい、研究の成果が期待できます。一方で、この研究によって人間の脳と人工知能の違いも知ることができることから、その研究を進めることによって人間の脳と同じ特徴の人工知能を作ることも可能とのこと。「それが完成すれば、新しい発見につながるさまざまな実験ができます。そうした実験はこれまで動物の生体を使っていたので、動物を傷つけなくても済むわけです」と眞田准教授。人工知能の新しい可能性が広がっています。人が認識する「こんな感じ・不思議」の具体化・理論化を目指している松田浩一准教授。研究室では主に、「技能のデジタル化」と「形状入力・操作」の2つのテーマに取り組んでいます。前者のテーマでは、和太⿎や盛岡さんさ踊りなど、郷土芸能を対象に地域の団体と共同で技能分析法を研究。これらの技能は口伝による伝承が一般的なのですが、指導者によって教え方が異なったり感覚的な情報が多いなどの理由から、伝承を困難にしているケースが少なくありません。そこで松田准教授は、各種センサによる動作分析、モーションキャプチャなどを使ったデータ取得、3Dモデルのシミュレーション映像の作成・分析などにより、技能の可視化を実現。「より高度な教え方の保存」につなげています。また、世界的に評価が高い理容ハサミの県内メーカーと共同で、㎛単位の作業を行うハサミ加工における職人の技能分析も研究しています。一方、後者の「形状入力・操作」については、複雑な構造の立体に対してより簡単に操作ができるよう、新しいシステムを研究・提案。インタフェースデザインによる社会への貢献を目指しています。065人工知能コース社会システムデザインコース眞田 尚久 准教授の研究室松田 浩一 准教授の研究室

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