岩手県立大学 入学案内2023
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「日本と韓国における非正規労働者の雇用安定と処遇改善のための法制度」の研究「世の中の経済活動を、紙の上に数値を使って表すことを意識した学問」の研究「自分・家族・地域の生命を守る避難行動、災害に強いまちづくり」の研究「私たちの多くが誰かに雇用される労働者であることを考えると、労働法は私たち労働者の生活に関わる重要な法律なのです」と話す徐講師は、その労働法を専門分野としています。日本では雇用者に占める非正規労働者の割合が増加する一方で、現在は約4割。そのため非正規労働者の雇用安定や処遇改善は、労働政策の中でも重要な課題として検討されてきました。これは隣国の韓国も同様で、1997年末以降の非正規労働者の急増とその劣悪な処遇が社会問題になったことから、日本よりも早く法制度が整えられたとか。徐講師はその両国の法制度の比較法的考察を主な研究課題とし、非正規労働者の雇用安定や処遇改善のための法政策の議論の活性化を目指しています。生島准教授が専門とする会計学は、曰く「世の中の経済活動を、紙の上に数値を使って表すことを意識した学問」とのこと。大学生の頃に経営者を志した生島准教授は、経営者に必要な知識の一つと考えて会計学を学んだところ、「パズルのような面白さ」に虜になったそうです。企業の経理に関する学問である会計学は、経営者だけでなく投資家にとっても重要で、また企業以外の組織でも役に立つことから、「一生使える学問」と生島准教授。さらに、高校まで勉強した内容とはまったく異なるので、全員が初学者として学びをスタートさせることができます。その点でプロフェッショナルになれる可能性も高く、大学での学びの楽しさを実感できそうです。「防災」「災害復興」「災害に強いまちづくり」をテーマに研究している杉安講師は、「災害は、過剰に恐れる必要はないが、正しく恐れることが大事」というのが持論。そのためにも学生には、自分・家族・地域の生命を守ることができる知識と技術を修得し、「災害時に真っ先に周囲の人に避難を呼びかける『率先避難者』になってほしい」と、災害の仕組みや防災・復興に関する課題の解決方法を伝えています。特に力を入れているのが「避難訓練」。災害後の地区防災の取り組みや策定された行動規範などを検証する重要な場であると捉えており、「避難目標時間の認知」「避難済みサインの活用」「観光客・要救助者の対応」など多様な視点から研究しています。089ようこそ研究室へ総合政策学部は、法律・行政コース、経済・経営コース、地域社会・環境コースに分かれています。3コースの先生1人ずつに、それぞれの研究室が現在取り組む研究について聞きました。徐 侖希 講師法律・行政コース生島 和樹 准教授経済・経営コース杉安 和也 講師地域社会・環境コース

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