岩手県立大学 入学案内2024
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鈴木教授の研究領域は高齢者福祉で、主な研究テーマは「介護保険制度」。2000年に開始したこの制度は、高齢者の増加や取り巻く環境の変化などにより、何度も改正されてきました。これらの改正・変化の中でも鈴木教授は特に「介護保険料の動向」に関心を持ち、保険料や保険給付に関する統計データの分析など「日本では少年事件の審理は非公開となっており、処分決定までに何が起こっているのかを知る手段さえ研究されていませんでした」と秋本講師。そこで、非行・犯罪に及んだ少年が具体的にどのように扱われ、どのような過程で処分が下されているかを調査する「少年審判の分析」に取り組んでいます。一方で学生就労継続支援施設や児童発達支援の事業所に勤務し、障害がある人やその家族を支援してきた松溪講師の研究テーマは、「障害がある人の所得保障に関する研究」。「障害がある人の所得が相対的に低い傾向にあるのは社会の責任」と考え、イギリスなどとの国際比較を通して、これを改善するためにはどのよう「介護福祉職の介護実践を通した学習と成長」「認知症ケアにおけるアセスメントとそれに基づいた支援」の2つを研究テーマにしています。介護福祉士としての実務経験がある松永講師は、不安・挫折感・葛藤などの「ゆらぎ」を経験する現場の介護福祉職を支援したいと、前者を研究。「ゆらぎ」を含めた介護現場での辛い社会心理学が専門で、文化的背景が異なる人同士が接した時の心理過程や行動の変化について研究しています。観察調査やインタビューなどのフィールドワークが中心で、これまで地域で暮らす外国人の方へのインタビューや、医療従事者や保健師への外国人対応に関する調査に取り組んできました。岩手はを行っています。一方、研究室では、家族介護者の抱える問題や支援をテーマに研究している学生が多いとのこと。このように「介護に関する現実の問題」というミクロの視点と、「問題解決のための法律や制度」というマクロの視点を結びつけて研究できる点が、同研究室の大きな特徴です。には、「今見ていることを当たり前と思わないでほしい」と伝え、「前提を問う」をキャッチフレーズに指導しています。また、罪を犯した人や障がい者などを支援する「岩手県地域生活定着支援センター」と共同で勉強会を開催。参加学生により、司法福祉の勉強会サークル「たまごの会」も誕生しています。な制度が必要なのかを研究しています。学生には、「誰もが生活へのニーズを持つからこそ、障害がある場合に変化するもの、しないものを考えてほしい」と松溪講師。「ノーマリゼーション(障害の有無や年齢に関わらず、誰もが社会の一員として生活する権利があること)」が達成された社会の実現を願っています。出来事も、それを意味づけし直す「経験学習」によって本人の成長につながる、と捉えています。また後者については、「認知症当事者の思いを理解・共有して支援することが重要」と考えます。そして「人間として成長できる介護の現場は『宝庫』」と言い切り、介護福祉の魅力を訴えています。外国人が散在居住しているため、ネットワークづくりが難しく課題も複雑多様で、個々の努力でなんとかしているという現状です。外国人の増加とともにソーシャルワーカーの活躍が求められる場面も増えています。学生には、「異なる文化も尊重する素養を身につけた福祉の専門家になってほしい」と期待しています。047ようこそ研究室へ福祉政策系・コミュニティ福祉系・臨床福祉系・生涯発達支援系・福祉心理系の5つの教育系に分かれる社会福祉学部。それぞれに特色ある研究活動が行われています。鈴木 力雄 教授の研究室秋本 光陽 講師の研究室松溪 智恵 講師の研究室松永 繁 講師の研究室細越 久美子 教授の研究室福祉政策系コミュニティ福祉系臨床福祉系生涯発達支援系福祉心理系

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