岩手県立大学 入学案内2024
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大型ドライビングシミュレータによる開発・データ解析高次元データに対する理解、手法の構築を目指す組込みシステムの技術を競う062電子制御を必要とするほとんどの製品に使われている組込みシステム。その技術力向上を目指し、本学部では「ETロボコン」に参加しています。これは、ロボットに指定コースを自律走行させ、プログラミング技術や走行性能を競う競技。本学部生はこれまで上位入賞など輝かしい実績を残し、組込みシステムの技術者として活躍する卒業生もいます。令和2年度には、本学チーム「Monolith 2020」が最も出場チーム数の多いプライマリークラスで東北大会を勝ち抜き、チャンピオンシップ大会(全国大会)で堂々の3位入賞を果たしました。さらに令和3年度においても、本学チーム「Monolith 2021」が同クラスでチャンピオンシップ大会に出場しました。鈴木准教授の研究領域の一つが、高次元データ解析。例えば、人間の言語(自然言語)をコンピュータで解析する「自然言語処理」では、単語をベクトル化し、データ間で単語間の関係を表現してテキストを解析することがあります。しかし、ベクトル次元が高いため、「次元の呪い」として知られる高次元の問題が発生します。「ふだん私たちは2次元・3次元の世界で生活していますが、自然言語処理を代表とした機械学習で扱うデータは大規模で高次元なデータなので、距離や類似性が低次元とは異なり、正確な解析が行えません」と鈴木准教授。具体的には、典型データばかりが目立ってしまう、といった問題が起こります。また、私たちの生活に身近な「商品推薦システム」においても、高次元データの性質を悪用して攻撃する「アタッカー」が発生します。そこで鈴木准教授は、数理科学的アプローチにより類似度や距離尺度を工夫することで、これらの問題解決に取り組んでいます。教育・研究Pick Upソフトウェア情報学部・ソフトウェア情報学研究科では、「世界中の人々に貢献する研究」を目指し、専門知識や技術を生かしたさまざまな教育・研究活動に取り組んでいます。Pick Up 01Pick Up 02Pick Up 03「高齢者支援」「自動運転HMI」をキーワードとする、人間支援工学、自動車安全工学に関する研究山邉 茂之 准教授大型ドライビングシミュレータを使って自動運転を再現し、快適・安全・安心につながるHMI(ヒューマンマシンインタフェース)の提案・開発、高齢者の運転行動の解析を行っています。5年前には国土交通省東北地方整備局からの依頼で、高速道路における高齢者の逆走防止策を研究。既存の逆走対策を比較し有効性を検証した結果、もっとも有効性の高い対策が導入され、逆走の低減につながりました。現在取り組んでいるのは、自動運転車における快適な「起こし方」と「寝かせ方」の研究です。「自動運転時にやりたいこと」を調査すると、「寝たい」という希望が多いことから、快適な覚醒のためのデバイスや、音を触覚振動に変換した「振動付きクッション型スピーカー」を開発。特に後者は、動画や音楽を同時に「楽しく」体感でき、それを共有できることから、高齢者や災害時の避難者の支援に活用できることも期待されます。ビッグデータの有効活用を支える基盤技術の研究開発鈴木 郁美 准教授ETロボコン

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