岩手県立大学 入学案内2024
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産学官連携による地域公共交通の維持・確保に向けた取り組み宇佐美 誠史 准教授国際経営戦略、経営戦略、中小企業研究近藤 信一 准教授法的視点からの国際開発研究桑原 尚子 准教授交通・都市計画が専門の宇佐美准教授は、システム開発会社の株式会社ぴーぷる、県内自治体と共同で、自治体が運営するコミュニティバスの乗車データの収集・分析に取り組んでいます。これは、バスの乗降口に乗降管理システム「RabiPeoCa(ラビピカ)」を設置し、バスの利用者にスマートフォンでタッチしてもらうことで乗降データを取得するというもの。データから各区間内の乗車人数や移動実態、利用頻度を分析することによって、バスの効率良い運行の実現を目指しています。「バスの利用実態の『見える化』は、公共交通計画の作成に役立つはず」と宇佐美准教授。将来的にはこのシステムを応用し、高齢者の見守りや地元の商店の活性化などにもつなげたいと考えています。近藤准教授の研究の柱は、理論研究による「国際経営戦略」、定性的実証研究による「経営戦略」「中小企業研究」の3つ。対象企業は、電機・電子部品メーカーです。定性的実証研究とは、現場で集めた「数値化できないデータ」に基づいて行う研究のことで、近藤准教授は企業の経営者などにインタビュー調査を行ってデータを集めています。例えば、大手日系電機電子メーカーに取材して市場における米中対立の影響を調査し、そうした業界の構造変化により関連する国内中小企業がどのような影響を受けているかを取材・調査。また、展示会などで業界の最新の動向をチェックすることも研究の一環です。最終的に企業の経営課題を把握し、それに対し最適な戦略を提案して課題解決に貢献します。専門である比較法学の知見を活かし、独立行政法人国際協力機構(JICA)で国際協力を実践してきた桑原准教授。具体的には、イラクで紛争後の平和な国づくりや、ウズベキスタンで汚職を防ぐための行政手続の透明化などに取り組んできました。「人々が自由に物事を進められるような、許容度の高い法制度が望ましい」と桑原准教授。また、グローバル社会において異文化の人々が共生するためには、少数派の意見を反映させられる仕組みづくりと、多様な法の共存という「法多元主義」の視点が必要であると考えます。今後はこのようなグローバルな枠組みによる、ローカルな視点の事例研究を目指しています。081Pick Up 01Pick Up 02Pick Up 03教育・研究 Pick Up「総合」の名が示すとおり、幅広い視点から私たちを取り巻く社会や環境の諸問題に対応する力を養う総合政策学部。「現場に学び、現場から学ぶ」をモットーに、教育・研究活動に取り組んでいます。コミュニティバスの利用実態を「見える化」企業の経営課題解決を目指す体制転換後の国の制度づくりなど国際協力を実践

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