岩手県立大学 入学案内2024
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「開示規制のエンフォースメント制度のあり方」の研究「震災復興及び農地流動化と新規就農者の育成に関する研究」「自然の資源化に関わる研究」「震災復興に関わる研究」金融商品取引法により、株式上場企業は事業内容や業績などの情報を開示することが義務づけられています。この情報が虚偽の場合、投資家が損害を被る可能性があるため、企業や取締役(経営者)は、賠償責任や刑事罰の対象となるほか、課徴金のような金銭的不利益を負うこともあります。一方で、こうした罰則等を恐れる企業が極端な内部統制を整備するなど、企業のコストが過剰に増大する、という問題も発生しています。そこで伊藤講師は、この「開示規制のエンフォースメント(法の強制的実現)制度」がどうあるべきかを研究。安心して投資できる市場環境の整備や企業の開示負担の合理化を目指しています。「この制度は地方自治体の『内部規制システム』との関連も深いので、民間企業はもちろん、公務員を目指す人にも、ぜひ関心を持ってほしい」と学生に訴えています。農業経済学が専門の新田教授は、主に岩手県の農業の生産・販売技術の革新や新規就農者の育成条件に関する研究などに取り組んでいます。「学生には自分の頭で考えてほしい」と、研究室はディスカッション方式。また、新田教授が先進的な農業経営者を養成する「いわてアグリフロンティアスクール」の評価委員としても活動していることから、同スクールの受講も学生の研究活動の一環としています。他方、「震災復興に関わる水産業の復旧・復興条件に関する研究にも力を入れている」と新田教授。卒論のテーマは農業に限定しているものの、被災地の復旧・復興に関わる研究を希望する学生も研究室に受け入れています。こうした研究活動により、農業や水産業(水産加工業)の発展に貢献することを目指しています。平井准教授の主な研究テーマは、自然から資源を得るための知識や社会的工夫を調査する「自然の資源化に関わる研究」と、「震災復興に関わる研究」の2つ。どちらも、テーマに即した市町村を訪ね、住民と一緒に対象現場に出向いたり、住民に聞き取り調査を行う「フィールドワーク」が主体です。1つの市町村に最低6〜7年間通って調査することを基本とする平井准教授は、現在、山菜の栽培化により農家の生計維持を実現しつつある西和賀町と、災害公営住宅のコミュニティづくりに取り組む大船渡市で調査を実施中。「フィールドワークでは、地域の方々の多様な考えにふれることで自分の常識がゆさぶられ、いろいろな幸福のあり方を学べる。これが研究の醍醐味」と話し、学生の参加に期待しています。089ようこそ研究室へ総合政策学部は、法律・行政コース、経済・経営コース、地域社会・環境コースに分かれています。3コースの先生1人ずつに、それぞれの研究室が現在取り組む研究について聞きました。伊藤 浩紀 講師法律・行政コース新田 義修 教授経済・経営コース平井 勇介 准教授地域社会・環境コース

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