岩手大学 理工学部
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宇宙の謎を探る岩手大学で宇宙はおよそ138億年前に誕生したと言われているが、その全貌は未だ明らかにされていない。岩手大学では人類最大の謎ともいえる宇宙を解明すべく、最先端の研究を行っている。飽くなき興味と好奇心を思う存分に発揮して、未知なる研究課題に取り組もう。宇宙の始まりを探る 素粒子を紐解き全ての源の秘密に迫る物理・材料理工学科 数理・物理コース成田 晋也教授宇宙のはじまりは非常に高温・高密度(高エネルギー状態)で、そこは素粒子と呼ばれる物質を構成する最も小さな粒子の世界であった。素粒子の研究ではILCなどの加速器を使って人工的に宇宙初期の高エネルギー状態を再現し、そこでの素粒子反応を観測することで宇宙の成り立ちの解明を目指している。我々は素粒子を直接捉えることはできないが、素粒子が物質と反応することで発生する電気や光を観測することで、その検出が可能となる。岩手大学では、素粒子の飛跡を正確に測るための装置を世界の研究者と協力して開発している。研究開発成果を報告するために、ほぼ毎週、海外の研究者も交えた英語でのインターネット会議を行っており、学生も参加している。「素粒子を研究することで人類が追い求めてきた宇宙の謎を解き明かすことができるのです。また研究で用いる最先端加速器や粒子測定器の開発から新たな技術が生まれ、それにより、工学や医療、環境などさまざまな分野の発展ももたらされます」と、成田晋也教授は語る。世界最先端の技術で宇宙の謎を解明したいと望む学生にとっては、まさに最適な学びの場といえるだろう。「宇宙はなぜできたのか?」という人類最大の謎。これを解明すべく地上から望遠鏡で宇宙を観測したり、実際に宇宙へ行ったりとさまざまな研究が行われている。一方で、宇宙のはじまりを作り出すという研究も行われている。ガス型粒子測定器の開発の様子1特 集1ILCと岩手大学 宇宙が誕生したのは今からおよそ138億年前。「無」と「有」の状態を繰り返していた量子たちが、ある時「無」に戻らず急激な膨張をはじめたことがきっかけとされている。膨張した宇宙はやがて、想像を絶するほど高温の熱エネルギーを放出。まるで爆発のような「ビッグバン」という現象が起きた。その後、急激に冷えていく中で水素やヘリウムが生成されて行ったとされている。 その宇宙の始まりともいえるビッグバン直後の状態を再現しようというのが、ILC(国際リニアコライダー)である。電子とその反粒子を光速近くまで加速して、正面衝突させる直線型の加速器だ。この取り組みには世界中の研究者やエンジニアが1,000人以上参加しており、岩手大学もまた、測定器の開発等に携わっている。 未だ全体の4~5%ほどしか解明できていないという宇宙の謎。ILCが実現すれば素粒子の研究は飛躍的に進み、知られざる宇宙の姿が明らかになっていくだろう。© Rey.HoriFACULTY OF SCIENCE AND ENGINEERING6

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