岩手大学 理工学部
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必要なサービスが必要な人に、必要なタイミングで届く超スマート社会「Society5.0」。誰もが快適に暮らせる未来を目指すとともに、超高齢社会や人口減少など日本が抱えるさまざまな課題の解決も期待されている。インターネットとモノをつなぐIoT(Internet of Things)によって日常のさまざまな情報が共有化され、その大量のデータはAIが分析し私たちに最適な提案をしてくれる。岩手大学ではこの未来に貢献すべく、各分野において日々研究が行われている。最新のテクノロジーで誰もが快適に暮らせる社会を実現しよう。 空間など高付加価値な情報、提案、機器への指示などI ー空間  データ人が人らしく生きるためにロボットの自動的生産をシステム創成工学科 機械科学コース三好 扶教授いえるだろう。 岩手大学では現在、サンマ蒲焼の缶詰製造工場における定量充填作業のロボット化について研究を行っている。ベルトコンベアを流れるサンマ片の形状を、ロボットが画像的特徴に基づいて選別。定められたルールに従い、商材を傷つけることなく缶詰に充填していく。AIに機械学習をさせることでサンマ片の組み合わせをアルゴリズムに落とし込み、手に持っただけで重さを判別する熟練スタッフの技を再現すべく開発中だ。 三好扶教授は「人口減少が著しい中、人が 日本の人口は減少の一途をたどっており、2050年にはピーク時と比べておよそ25%以上が減少すると見込まれている。これは人手が必要な工場にとって深刻な問題であり、日本の生産性にも大きな影響を与える。人手不足を解消し生産性を向上させるためにも、ロボットによる自動的生産は必要課題と行うには負担や危険が大きい作業をロボットに代わってもらう。そうすることで、人は人にしかできないことに集中できる。ロボット化はより人間らしい暮らしへの提案です」と語った。今後もロボットと人間それぞれが得意分野で力を発揮できる未来を目指し、研究を進めていく。90%以上の確率でサンマ片を判別するロボットを研究するIoT を研究する人とモノをつなぎ世界をつなぐ最先端技術よると、人の位置や姿勢、行動、活動量に加えて人物の特定も可能で、高齢者や子どもの見守りなどセンシングに活用できるという。 また、Bluetoothを用いたスマートフォンの位置測定も行っており、Microsoft社のコンペ「2017 Microsoft Indoor Localization Competition」では見事世界3位に入賞。障害物が置かれた複雑な環境下において平均約4mという高い測位精度を記録した。今後はさらに精度を高め、視覚障害を持つ人のナビゲーションへの応用も考えている。誰もが快適に暮らせるSociety5.0の実現に向け、より具体的な研究が進められている。システム創成工学科 電気電子通信コース本間 尚樹教授 あらゆるものをインターネットに接続するIoTの発展には無線通信技術の力が欠かせない。今後は膨大な数の機器が無線でインターネットにつながるようになる。しかし、無線通信を行うためには電波という有限な資源を消費することになる。近年は電波資源枯渇が深刻な問題になっており、その解決策として無線通信を高速化する技術「MIMO」が注目を集めている。 これまでの無線通信は周波数帯域を広げることで高速化してきたが、MIMOは発信側と受信側に複数のアンテナを装備し、帯域を広げることなく通信速度の高速化を実現する。岩手大学では、マイクロ波生体レーダーの開発を行っている。本間尚樹教授に電波を使って人の状態を推定する生体レーダー  5.0ものづくり農 業IWATE UNIVERSITY9

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