岩手大学 理工学部
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宮みや島じま 信しん也や 教授17| 高校生のための研究紹介 | 現代の工業は、コンピュータを使って数学の問題を解くことで成り立っているといっても過言ではありません。例えば車や飛行機の形を考える場合、抵抗を記述する数式を考え、その最小値を得ることで抵抗の少ない形を導くことができます。現象を理解するための数理モデルを作り、これを解くことで、工学的製品の設計や現象の予測などが可能となっているのです。しかし、コンピュータは計算を間違えることがあります。コンピュータは数学の問題を解く際、「ある手続きを無限回繰り返したら本当の結果になる」という方法をとります。しかし無限回繰り返すことは不可能なので、途中でその手続きをやめます。するとその「結果」と「本当の結果」には誤差が生じてしまいます。そこで当研究室では、コンピュータにどんな計算方法を指示すればより高信頼な結果が得られるのか、その方法論を研究しています。コンピュータを使って信頼性の極めて高い結果を求められるようになれば、数学の分野でこれまで証明できなかったことを証明できるようになります。またコンピュータの計算結果に今より高い信頼性を与えることができるようになります。しかしこの方法は、従来の計算方法に比べて多くの実行時間を要するのが現状です。これまでの方法とほぼ同等の計算時間でそれを実現するのが私の夢のひとつです。今、多くの企業は「地頭のいい」学生を求めています。地頭のコンピュータの計算性能が上がった今、次に求められているのが「信頼性」。いずれは私たちが使うパソコンや電化製品にも応用されていく技術です良さを測るひとつの方法は、数学力が高いかどうかを見ることだと私は考えています。例えば、私は最初の授業で新入生に、「ax=bの答えを求めなさい」という問題を出します。多くの学生は「b/a」と答えます。しかしaが0の場合、bが0でない限りこの等式は成り立たず「解は存在しない」が答えになります。逆にbが0であればaは必然的に0となりxは無関係になりますから、答えは「解は無限個ある」になります。そもそもそこに解はあるのか、と疑うのが大学の数学です。さまざまな可能性や条件を想定し、検証していく論理的思考が数学には必要不可欠です。この論理的思考こそ、企業の求める地頭のよさ、つまり発想力やアイデア力につながると思うのです。難しそうと思う人もいるかもしれませんが、数学もスポーツや音楽と同じ。繰り返し考えることで、わからなかったことが少しずつわかってきます。「答え」にたどり着いたときの達成感が、この学問の魅力です。数式がぎっしり並ぶノートと、何度も読み返して分解寸前のテキスト。数式はボールペンで書き込み、「失敗の過程も残すことにしている」Profile1978年生まれ、長野県出身。早稲田大学大学院理工学研究科情報科学専攻博士後期課程修了。主な研究テーマは、「行列問題の解に対する新たな数値的検証法の構築」。趣味は音楽(ギター)、好きなジャンルはロックンロールとブルース。整然とした研究室が示すとおり「物を極力置かない主義」。パソコンのデスクトップには「ゴミ箱」のアイコンのみ。物理・材料理工学科 数理・物理コース理工学専攻 数理・物理コースコンピュータは「より正確に」の時代へコンピュータは「より正確に」の時代へ信頼性の高い計算方法を研究信頼性の高い計算方法を研究

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