岩手大学 理工学部
21/56

山やま中なか 克かつ久ひさ 教授21| 高校生のための研究紹介 | 皆さんはアルゴリズムという言葉を聞いたことはありますか。アルゴリズムとは、問題を解決するための手順や方法のことをいいます。実は私たちの身近なところでも活用されていて、その中のひとつがスマートフォンです。手のひらサイズにもかかわらず、電話はもちろんのこと、地図を見たり、調べ物をしたり、ゲームをしたり、様々な機能を持ち合わせています。それらを可能にしてるのがプログラムです。アプリやソフトウェアと言ったほうがイメージしやすいかもしれません。アプリはたくさんのプログラムが集まったものであり、プログラムの良し悪しによって動作のスピードに差が出たり、不具合が発生することもあります。その差を生み出すのが、問題を解決するための手順や方法(=アルゴリズム)です。プログラムはアルゴリズムに基づいて設計されます。つまりアルゴリズムはプログラムの設計図、心臓部分なのです。プログラムプログラミングだけではなく、過去の論文を読み解いて知識を広げることも大切な学習のひとつ。ゼミ形式でディスカッションも行っています山中先生は、試作を巡らすのにノートを活用。『あみだくじ』を列挙する超高速なアルゴリズムの開発をはじめ、これまでの研究がビッシリと記されていますはスマートフォンだけではなく、パソコン、カーナビ、テレビ、冷蔵庫など、ほとんどの電化製品の中に含まれています。プログラムがあるところには必ずといっていいほどアルゴリズムが関係しています。私は良いアルゴリズム(高速に動作するアルゴリズム)を開発するために日々研究しています。知能・メディア情報コースは、プログラミング(コンピュータのプログラムを作製すること)に重点を置いたカリキュラムを提供しています。プログラミング、そしてアルゴリズムは情報技術の核をなす重要な技術であり、情報技術の基礎です。その注目度は高く、2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されることが明示されました。プログラミングの基盤知識としてアルゴリズムは必須の知識であり、国が認めるほどの重要分野なのです。知能・メディア情報コースで基礎をしっかり習得すれば、プログラミング技術はもちろんのこと論理的な考え方も身に付きますので、様々な分野で活躍する可能性を秘めているといえます。アルゴリズムの醍醐味は、「そんな発想があったのか」と人をあっと言わせるような工夫をこらして効率の良いアルゴリズムを設計することです。それはまるでパズルを解く感覚に近いかもしれません。頭をフルに使って独自のアルゴリズムを設計する楽しみ、そして自分で設計したアルゴリズムをプログラムとして実装する喜びを味わってほしいと思っています。Profile1980年生まれ。栃木県出身。電気通信大学に勤務後、2011年に岩手大学へ。専門は理論計算機科学、アルゴリズム理論、離散数学、グラフ理論。アルゴリズム理論分野の研究を通して「問題点を見つけ出し、モデル化し、解決方策を提案する」という一連の問題解決プロセスを実現できる能力を育成している。サッカー好きで、現在もフットサルチームに所属。システム創成工学科 知能・メディア情報コース理工学専攻 知能情報コースアプリはプログラムの集合体アプリはプログラムの集合体その核となるのがアルゴリズムその核となるのがアルゴリズム

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る