特 集2医 療〈センサー情報〉環境情報、機器の作動情報、人の情報などを収集エネルギー時代が求める実践的情報技術を養う インターネットの普及やコンピュータの処理速度向上などに伴い、デジタル化された情報は膨大なデータとなって世界中で発信され続けている。テキストデータや画像、映像、音楽などといった多種多様なデータ群はビッグデータと呼ばれ、今後の経済成長や社会変革にお 2007年に超高齢社会へ突入した日本は、2050年には全人口の40%近くが高齢者になると試算されている。誰もが暮らしやすい社会「Society5.0」にとって、高齢者の介護や健康寿命の延伸は重要な課題だ。一人暮らしの高齢者が増え孤独死が増加する中、岩手大学では安心して暮らせる見守りいて、これの利活用は欠かせない鍵になる。 岩手大学では、このビッグデータから有用な情報や知識を掘り起こす「データマイニング」と呼ばれる研究を進めている。ニュースなどの情報の真偽を自動的に判断するほか、ユーザーの性別や年代などを考慮し最適な情報を提供。これにはAIによる高度な機械学習技術が不可欠で、この手法を用いればネット上にあるいじめ問題の解決にもつなげることができる。いじめか否かの学習データをもとにインターネット上の書き込みを判断し、エスカレートする前にいじめを食い止めることが可能になるのだ。 「世界中の人に、最適かつ正しい情報を迅速に届けること。そして適切な情報管理を行うことで社会貢献につなげていきたい」と、システム創成工学科/知能・メディア情報コースの張建偉准教授は語る。今後は行政や学校などと連携することで、研究の実用化を目指していく。システムの構築を進めている。 小林宏一郎教授によると、光や電気を使ってセンシングすることが高度な医療機器の開発につながるという。カメラと赤外線を搭載したモーションセンサーデバイスを使った研究では、血液に対する赤外線の反射光で脈拍を測ったり、上下する胸部のわずかな動きを捉えて呼吸を計測することに成功。また、服などの絶縁物を介しても測定可能な容量性電極を使い、呼吸や心拍測定システムの開発も手がけている。 これらは器具の装着が不要な非接触で計モーションセンサーデバイス「Kinect」を用いた実験測できるため、日常生活の中で自動的に計測することを目指している。計測されたデータはIoTによって集約・解析され、異常があればすぐに家族や医療機関に知らせることが可能だ。 高度なセンシング技術によって高齢者はもちろん、支える側も安心して暮らせる社会を作り上げていく。システム創成工学科 知能・メディア情報コース張 建偉 准教授システム創成工学科 電気電子通信コースバ 実 サイ現8ビッグ 膨大なデータから質の良い情報を迅速に提供誰もが安心して暮らせる見守りシステムを構築小林 宏一郎 教授Society ビッグデータ を研究する センシング を研究する 岩手大学でA Society5.0を推進する
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