岩手大学 Guide Book 2025
84/106

(Farm Animal Clinical Skills and Disease Control Center, FCD)(Food Animal Medicine & Food Safety Research Center; FAMS)■■■■■■■■■■84IWATE UNIVERSITY 2025Faculty of AGRICULTURE応用生物化学科 教授宮崎雅雄【分子生体機能学】本センターには、都市近郊フィールドとして滝沢農場と滝沢演習林、実験苗畑、中山間地フィールドとして御明神牧場と御明神演習林があります。1世紀にわたり整備してきた、寒冷地における森林から耕地に至る特色あるフィールドを活用して、新たな農学観に立脚する高度専門技術者の養成を行っています。また、各フィールドは農学部キャンパスから比較的近距離に位置しているため、各学科の実習や研究に多く利用されています。本研究センターは、フードチェーンアプローチに基づく食料生産動物の健康と食の安全確保の実現を目的として設立されました。FAMSは①動物生産部門、②食の安全部門、③環境放射線衛生学部門と、それらを統括する企画調整部門の4部門で構成されています。人類の生活と密接に関わる牛・豚・鶏を主な研究対象とし、動物医学と食品安全の2つの側面から食料生産動物に関する教育・研究を進めます。「健康な動物の生産」と「食の安全・安心」を確立するための拠点を目指しています。「ネコにマタタビ」ということわざがあるように、ネコがマタタビを大好物とすることは日本人に広く知られている有名な生物現象です。ネコがマタタビを見つけると舐める・噛む・顔を擦り付ける・地面にごろごろ転がる、といった特徴的な「マタタビ反応」を示します。ネコのマタタビ反応に関する知見は、300年以上前の書物に記されており、江戸時代の浮世絵「猫鼠合戦」にも登場します。マタタビ反応を誘起する活性物質は60年以上前の研究により同定されていましたが、何の目的でネコがマタタビに反応するのか、全く分かっていませんでした。そこで本学における最新の分析技術を駆使して、ネコのマタタビ反応の生物学的な意義を解明する研究に着手しまし農学部の南側に建つ農学部附属動物病院は、伴侶動物診療棟と産業動物診療棟の2棟からなり、共同獣医学科の臨床教育を実践する場となっています。本動物病院は伴侶動物内科、伴侶動物外科、産業動物臨床繁殖科、産業動物診断治療科、生産獣医療科などの診療科を持ち、伴侶動物と産業動物のそれぞれの獣医療のバランスのとれた環境において、動物病院専任および兼任教員が診療を行いながら、学生の臨床教育を担っています。当センターは、産業動物臨床教育の向上を支援し家畜疾病制御に係る教育研究体制を整備して、産業動物分野を支える獣医師人材を育成する拠点形成を目的として、2022年6月に設立されたばかりの新しい附属施設です。組織として、産業動物実習部門と感染症制御部門の2部門で構成されており、岩手大学が地域と連携して充実した臨床獣医学教育や卒後教育を行うとともに、越境性重要感染症対策など取り組むことを目指しております。た。まず私達は、マタタビから過去の研究で見逃されていた強力なマタタビ活性物質「ネペタラクトール」を同定しました。更に研究を重ね、ネペタラクトールに蚊の忌避活性もあること、マタタビ反応に重要なのはネペタラクトールを体に擦り付ける反応であり、マタタビに反応したネコは、蚊に刺されにくくなることも科学的に立証できました。今後は、なぜネコ科動物だけが、マタタビに反応する術を獲得できたのか、マタタビ反応に必須な遺伝子を特定して1000万年以上昔にネコ科動物がマタタビ反応を示すに至った進化過程を考察したいと考えています。最新の研究技術を駆使してネコのマタタビ反応の謎に迫る。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

元のページ  ../index.html#84

このブックを見る