准教授うらけんみじ三浦司FACULTY OF SCIENCE AND ENGINEERING 健電気電子・情報通信コース修士:理工学専攻/電気電子通信コース| 高校生のための研究紹介 | Profile1975年生まれ、青森県出身。東北大keyword学情報科学研究科修了。専門は、磁気応用工学、電子デバイス工学、環境電磁工学。2012年より岩手大学に勤務。二児の父であり、最近の週末は、野球を始めた下の子の練習にかかりきり。送迎だけのつもりが練習にも参加することになり、子どもたちに「三浦コーチ」と呼ばれている。現在は同軸プローブで先端付近のマイクロ波帯誘電率を測定。最終的には樹上に実ったリンゴに電波を当て、非破壊で成熟度がわかる装置を開発する予定です。【キーワード】 マイクロ波/電波/電磁波/磁気/センシング/電波測定/誘電率リンゴを2mm厚にスライスしながら、果皮付近から中心付近までの誘電率を測定。誘電率は糖度が高いほど低下するため、中心まで甘くなるにしたがい内側と外側の差が小さくなります。います。マイクロ波とは周波数300MHz〜 300GHzの電波のことで、スマートフォンなどの通信をはじめ、電子レンジやGPS による測位システム、がん検診など、私たちの身近なところでも使われています。することで、誘電率と透磁率という物理的な値を調べることができます。現在はこの指標をもとにした、樹上にあるリンゴの品質モニタリングシステムの開発に取り組んでいます。の量によって決まります。誘電率の高い水の中で糖分の割合が増え当たる外側部分ほど糖度が高く、内側ほど低いといわれています。そこで6品種のリンゴに対し、月ごとに、果皮付近から中心付近までの連続的な部位について、棒状の同軸プローブを用いてマイクロ20当研究室では現在、マイクロ波を用いた材料測定などを研究してマイクロ波を物体に当て、通り抜ける波と跳ね返ってくる波を測定品質の判断基準の一つである糖度は、果汁の中に含まれる糖分れば、その分誘電率は低下します。また一般的に果実は、太陽に波帯誘電率を測定。その結果、いくつかの品種では収穫時期に近づくにつれ、外側と内側の誘電率の差が小さくなる傾向があることがわかりました。これはつまり、成熟するに従って内側も徐々に糖度を増し外側との差が小さくなってきたこと、果実全体の糖度が上がってきたことを示しています。現在はさまざまな品種で測定をしている段階ですが、誘電率の差と果実の適熟期の相関が確立できれば、電波を使った世界初の検出法になります。最終的には、電波を当てて瞬時に成熟度が判定できる機器の開発を目指しています。併せて、スキャンしたリンゴ樹体の3次元点群から、リンゴの実る位置やサイズを測定する試みも行っています。これらの技術を使えば、これまで農家の皆さんの経験に頼っていた摘果や収穫の判断をリンゴ全個体に対して行うことができ、作業軽減とともに品質向上につながることが期待できます。今後、ビッグデータやそれを活用したAI 技術はますます進化していくと考えられています。その中で、センサーを用いて物質や人体の状態や動きなどの情報を取得するセンシング技術もまた重要度を増していきます。電気電子・情報通信コースでは電気工学、電子工学、通信工学をベースにAI等を活用することで人体のモニタリングや農業のスマート化といった地域課題の解決、Society5.0の実現に不可欠な研究が多くなされており、これが電力、半導体、通信業界を中心にさまざまな業界で活躍する人材育成につながっています。マイクロ波を用いたマイクロ波を用いた測定技術で果実の品質を測定技術で果実の品質をモニタリングモニタリング
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