岩手大学 理工学部
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教授うちだてみちまさ 道内舘正FACULTY OF SCIENCE AND ENGINEERING機械知能航空コース修士:地域創生専攻/地域産業コース| 高校生のための研究紹介 | Profile1975年生まれ。岩手県出身。岩手大keyword学大学院生産開発工学専攻修了。専門は、機械工学、サーフェスメトロロジー、トライボロジー。趣味は体を動かすことで、昼休みは大学職員とともにバドミントンをし、休日はボウリングの大会に参加することもある。様々な加工によってできる細かい凹凸を示した表面粗さ標準片。製品や部品の設計者は、これらを参考にして表面の粗さを図面に落とし込み製造者に伝えます。【キーワード】 トライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑)/サーフェスメトロロジー/表面粗さ/表面機能設計ダイヤモンドで作られたスタイラス(触針)で表面をなぞり測定を行う、接触式表面粗さ測定機を採用。触針の振幅や波長の形など、さまざまな方法を用いて凹凸の評価を行います。(tribology)」などの研究を行っています。物体には凹凸があり、これらは使いやすさやデザイン性、製品機能の観点から、設計者に、表面の凹凸が小さいと摩擦が小さいと思われがちですが、実も大きくなり、部品が動かなくなることがあります。凹凸が大きすぎてもダメです。最適な表面凹凸が存在しますが、それを計算によって予測することは今でも難しいのです。22当研究室では、表面凹凸解析や粗さ面の接触解析のほか、潤滑や摩擦、摩耗などを対象とする科学「トライボロジー粗さの度合いや形はさまざまです。例えばパソコンのキーボードや一眼レフなどの表面は少しザラつきがありマットな仕上がりのものが多いですが、スマートフォンはツルツルした表面が一般的です。が凹凸の度合いや形状を決めているのです。高校の物理で「なめらかな表面」は摩擦がゼロと解釈するようは鏡のように金属表面をピカピカに仕上げてしまうと、摩擦はとて私たちの研究で取り上げる機会が多いのは、工業製品を作るための金型や製造設備などです。企業との共同研究も多く、これまでインクジェットプリンターにおけるジッタ(jitter /印字面が乱れて色むらになること)と表面の凹凸の関係性を探る研究や、自動車の省燃費化を目的とした凹凸制御新型無段変速機(CVT)の開発などを実施。さらに、転がり軸受(ベアリング)の寿命予測技術も手掛けてきました。日本の産業製品は品質が高いことで知られていますが、それを実現するためには摩擦や摩耗の問題が大きく関わってきます。摩擦が大きければ、自動車などの燃費は悪化し、エネルギーの無駄使いやCO2排出増となります。製造する機械の摩耗が激しければ、故障やトラブルの原因になり、計画通りに生産することができません。ときには企業から相談を受けることもあり、その場合は不具合が起きる原因を調査および分析し、一緒に改善点を考えていきます。一般には注目されることが少ない縁の下の力持ち的な存在ですが、表面凹凸解析や接触解析などをもとに、実際に製品を作る前の設計工学や加工に関わる精密工学、部品を成形するための金型など、機械工学に幅広く関われることが当研究室の魅力の一つです。問題点に対して原因を追求し対処することは、社会で活躍する人材になるために必要なスキルです。卒業生の多くは、自動車産業や精密部品関係、建設プラント系など、さまざまな分野で活躍しています。あらゆる産業で欠かせない分野ですので、ぜひ多くの学生に興味を持っていただきたいです。ものづくりを支えるものづくりを支える機械工学の機械工学の“縁の下の力持ち”“縁の下の力持ち”

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