IWATE UNIVERSITY 2026人文社会科学部 教員研究紹介Introduction to Research21不登校の行政サービスの限界と可能性を解明する日韓の「家廻り芸能」をフィールドで追ういきいきと働くための企業経営を考える現代文学やポップカルチャーの研究を通してロシア文化の新たな魅力を探る労働法の実効的な履行確保手段持続可能性の環境政策に関する社会科学分野の学際・総合研究社会学社会病理学 社会学の観点から、学校に行かない・行けない子どもたちが、社会と接点を持ちながら、よりよく学び暮らしていけるよう、現行の不登校の行政サービスについて検討しています。不登校の子どもに対する教育サービスのうち、全国に最も多く設置され、無償で通うことができる「教育支援センター」を研究対象とし、全国規模の質問紙調査と、質問紙調査の結果にもとづいて選定された複数の都道府県でのインタビュー調査、参与観察を実施。量的・質的データを集め分析することで、根拠にもとづく知見を導き出しています。韓国文化学 韓国の伝統的な打楽器芸能「農楽」や、日本の「伊勢大神楽」を中心に、民俗芸能・民族音楽を研究しています。「門付け」とも呼ばれる、家々を巡る芸能の文化的意義に着目し、日韓両国でフィールドワークを続けており、2025年1月には著書『旅するカミサマ、迎える人々~伊勢大神楽と「家廻り芸能」』を刊行。また、研究を地域社会に還元する取り組みとして、芸能の国際交流の場づくりも進めています。2025年度から新設される「韓国文化学」を担当し、学生のみなさんと共に民俗文化の奥深さを探求していきます。経営学人的資源管理論 企業は、「ヒト・モノ・カネ・情報」という資源を保有し、市場で生き残るためにこれらの資源を有効に活用し、経営をしています。私が研究の主たる対象としている「ヒト」という資源は、学び、成長し、他の資源を動かす存在である一方、置かれた環境により発揮する能力が変化します。長時間労働の是正をはじめとする「働き方改革」を通じ、「ヒト」がいきいきと働ける環境をつくることは、高い成果を上げることにもつながります。こうした理由からも、「ヒト」という資源を大切にすることは、企業にとって重要な課題となるのです。ロシア文学 ロシア文学と言えばドストエフスキーやトルストイなど19世紀の文豪が有名ですが、現代の作家も負けていません。たとえば、私の主要な研究・翻訳対象の一人・ソローキンは「ロシア版ポストモダン文学」のもっとも先鋭的な部分を代表する作家であり、奇想に満ちた型破りで実験的な作品は、ロシアだけでなく日本の読者にも新鮮な驚きを与えています。近年は文学のみならずファッションやヒップホップといったポップカルチャーの研究も行っており、既存のイメージにとらわれないロシア文化の新たな魅力を探求しています。労働法 働くひとにとって、「労働法」は切り離せない存在です。労働法は、労使間において交渉上劣位にある労働者を保護するもの。しかし「労働法がある」というだけでは、それを守らない人(使用者)が少なからず存在します。そこで、重要となるのは「労働法を守らせる手段・方法」です。刑罰という背景から遵守を進めるのか、もしくは使用者の自発的な遵守に期待するのか。さまざまな手段・方法があるなか、なにが労働法を履行確保し、そして、労働者の権利を救済するのに有効なのか、この点について日英比較法研究を行っています。環境政策論 環境政策とは「環境問題の解決に向けた方針」と説明できます。「環境」は、人類の存続に関する課題「持続可能性」の主要な一要素。この研究室では、社会・経済も含む複数の項目の「総合的な観点」と、法・政治・経済・教育といった社会科学分野における複数の学問分野の「学際的な観点」から、持続可能性の環境政策研究を行っています。具体的なテーマとして「東日本大震災の復興」に尽力しつつ、持続可能な地域社会の形成に向けた岩手県内の取り組みを事例対象とした環境エネルギー政策について研究しています。教員紹介研究室紹介人間文化課程准教授 樋口 くみ子人間文化課程准教授 神野 知恵地域政策課程准教授 渡部 あさみ人間文化課程准教授 松下 隆志地域政策課程講師 西畑 佳奈地域政策課程准教授 中島 清隆
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