岩手大学 GUIDE BOOK 2026
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IWATE UNIVERSITY 2026理工学部 教員研究紹介Introduction to Research36自然から学ぶ有機化学〜天然物を超える優れた機能性分子の創出を目指して〜磁性ナノ粒子の医療応用に関連する研究多彩な視点からデザインが果たす役割を探求ナノ物質とナノ構造の物理理論人工知能という高性能なツールをどう使えば世の中に役立つかを考えるプラズマを生成するためパルスパワー技術の研究開発天然物合成化学 「天然物」は、生命の生存競争と進化の過程で選び抜かれた、高い機能性を持つ分子です。しかしその多くは自然界からごく微量しか得られず、その利用には人工合成(全合成)が不可欠です。当研究室では、新たな反応や合成戦略を開発し、それらを活用した天然物の全合成を実現するとともに、天然物を超える優れた機能性分子の創出や生命現象の解明に挑戦しています。このような取り組みは「天然物(自然)から学ぶ有機化学を実践する」という学術的意義に加え、人類の健康増進や地球環境保全にも貢献することが期待されます。磁気物理ナノ材料 近年、磁場による操作性や低副作用の観点から、「磁気温熱療法」や「磁気刺激」といった、ナノサイズの磁石を利用した医療応用が注目されています。また、その有効性はナノ磁石のサイズや形状によって大きく変わります。このことから、本研究室では、磁化測定、マイクロマグネティクス計算、中性子散乱などの手法を用いて、ナノ磁石の「磁気的振る舞い」の解明にも取り組んでいます。デザイン学芸術工学 南部鉄器や岩谷堂箪笥、久慈琥珀などの岩手の伝統的工芸品・特産品を欧米向けにデザインしているほか、最先端の医療機器、照明機器、家具等のプロダクト、iPhoneのアプリや各種のインターフェース、食品のパッケージなどのデザインを、国内外の企業や自治体と連携しながら取り組んでいます。例えば、飲料ボトルのパッケージデザインの研究では、世界中の商品を集め、ユーザーの視線の動きを「アイトラッキングシステム」で分析。書体や配色がもたらす効果などについて検証しました。このように、学術的な知見を取り入れたデザイン学を研究・指導しています。中性子科学プロダクトデザイン物性物理学 水素原子10個分ほどの長さ「1ナノメートル」で特徴づけられる多彩な物質と構造を作ることができる現代。本研究室では、グラフェン、カーボンナノチューブなどの「ナノ物質」や、半導体や金属で作られた「ナノ構造」の性質を、物理学理論に基づき、主に、コンピューターを用いた計算によって明らかにする研究をしています。これらの系では、微小な世界に特有の量子力学的効果が顕著になります。また、これらの系はしばしば二次元や一次元の空間構造を持つため、低次元系特有の性質が現れることがあります。深層学習 現在ではかなり馴染みある存在になってきた「人工知能(AI)」。この研究室では、人工知能でさまざまな未解決問題を解くことにチャレンジしています。言い換えると、AI技術をどのように応用し、どう活かしたら社会に貢献できるのかを、学生と一緒に日々探究しています。特に「画像」を利用したテーマを多く扱っており、例えば「人間の皮膚にできた痣の画像を解析して良性か悪性かを予測する技術」や、「ドローンで空撮した実験水田の画像を解析して作物の収量を予測する技術」などの実用化を目指して研究を進めています。高電圧パルスパワー工学 放電プラズマや高電圧工学は、電子デバイスやエネルギー変換などのユビキタス社会や低環境負荷社会の構築に大きく貢献しています。近年では医療、バイオ、農業などなどさまざまな分野での応用が広がっており、私たちは、それぞれの応用に適したプラズマを生成するための電源(パルスパワー)技術や、環境保全、農業・食品、材料分野への応用研究を行っています。また、明日の地球と地域と人づくりのため、地域の小学校や科学館と連携したエネルギー環境学習にも取り組んでいます。ナノ科学画像認識システム理工学科化学コース教授 中崎 敦夫理工学科材料科学コース教授 小林 悟理工学科クリエイティブ情報コース教授 田中 隆充理工学科数理・物理コース教授 瓜生 誠司理工学科知能情報コース准教授 木村 彰男理工学科電気電子・情報通信コース教授 高木 浩一

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