東京海洋大学 2020 統合報告書
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▶ ビジョン2027(11ページ)は、竹内学長が就任時に東京海洋大学が目指す将来像として策定されたものですが、掲げられたビジョンの中で特に重要視されているビジョンがあれば教えてください。ビジョンの策定にあたり、各分野(教育、研究、国際化、社会・地域連携、管理・運営)に数多くあるアクションプランより特に重要なものを選んでいます。従ってビジョン2027に載せているものはすべて重要だと思っています。分野も5つに分かれていますが、例えば教育分野の中に「国際的な基準を満たす質の高い教育」があり、この目標を達成することで、研究分野にある「将来におけるトップクラスの研究を支える人材育成」にも絡み、それが国際分野にも絡んでくる。その中で新しいプログラム、最近の例で言えば2019年に採択された卓越大学院プログラム(「海洋産業AIプロフェッショナル育成」(16-17ページ)のような取組が生まれてきます。このように総合的に活用し、将来何らかの事業を起こすときの指標となる、そういったことにも役立つことを目指してこのビジョン2027を策定しました。どれかの分野を強化するだけではいけないし、有機的に対応していく必要があると思います。▶ 本学がこれまで社会へ提供してきた価値を教えてください。過去・現在・将来にわたって本学として提供できていることは、「輸送」「食(水産)」「海洋環境(保全と利用)」の3つの柱だと思います。2017年に新学部(海洋資源環境学部)ができて、そこが収斂し、海洋工学部が船だけでなく陸上も含めた物の輸送(ロジスティクス)、海洋生命科学部が養殖や食品加工といった食の提供、海洋環境や海洋保全利用については海洋資源環境学部と明確に位置づけられた。この点は学生や保護者、企業の方たちにアピールしやすくなったと思います。そして今後はこの3つの分野においてAI(人工知能)の時代に対応した人材を育成する、ということがキーワードになってきます。2026年までに海洋データサイエンス専攻(博士(課程)5年)を作ろうという構想が出来ているので、これから10年弱の間にデータサイエンスやAIなどの教育研究活動をどんどん発展させていくことになると思います。それが本学のこれからの将来提供できる新たな価値になるんじゃないかな。学生さんはデータサイエンスやAIなどの最新技術を学ぶことで将来にわたって自分が活躍できる場が得られることになってくると思います。東京海洋大学の創造価値とその源泉について本統合報告書は、ステークホルダーのみなさまに本学が社会へ提供可能な創造価値を簡潔かつ丁寧に説明することで本学への一層の理解・支援を頂くことを目標に作成をしています。そこで竹内俊郎学長に、東京海洋大学が社会に提供してきた創造価値やその源泉(強み)、本学が変化してきたこと・変化せずに守り続けたこと、そして18歳人口の減少といった大学全体の課題まで、多岐にわたる分野をテーマにインタビューを行いました。(聞き手:統合報告書作成プロジェクトチーム)国立大学法人 東京海洋大学長竹内俊郎1973年3月 東京水産大学水産学部製造学科卒業1975年3月 同 大学院水産学研究科水産増殖学専攻修士課程修了1975年8月 東京水産大学学部助手1983年3月 農学博士(東京大学)1994年4月 同 水産学部教授2003年10月 東京海洋大学海洋科学部教授 同 大学院海洋科学技術研究科長(2008年3月まで)2009年4月 国立大学法人東京海洋大学理事・副学長(2012年3月まで)2015年4月 同 学長。現在に至る 学長インタビューIntegrated Report10

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