東京海洋大学 2020 統合報告書
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専門家集団であるということ▶ 価値の裏付けには、本学だからこそ持ちうる源泉(強み)があるかと思います。そこで、学長がお考えになる本学の強みや弱みについてお聞かせください。一番の強みは海洋・海事・水産に特化した専門家集団というところでしょうか。日本において、本学はその3分野に関する先生方が一番豊富で、かつ3分野すべてを有している唯一の大学になります。そういう意味ではユニークです。他大学においては教員が数名程度しかいないような食品科学系の研究室が、本学では一つの学科になっており、20名以上もの教員がいます。それだけ先端化した、専門性を高めた教育・研究ができる環境が整っているということが強みです。また、先端化して細かいことを幅広く研究できるというのは受託研究や共同研究といった産業研究に非常に強いという本学の特徴につながっていると思います。残念ながら、基礎研究が好まれる科学研究費補助金の申請では同規模大学よりも採択率が低いという傾向がみられますが、この点は先生方の質ではなく、研究の方向性の問題だと思います。各研究者それぞれが産業に寄り添った応用研究に邁進していますが、 応用研究をやっているからこそ見いだせる基礎研究の芽をみつけ、 育てることで、より先端的な研究ができるという意識を持つ研究者を支援していかなくちゃいけないと思います。変わらない実学重視の理念と国際化統合報告書の一番最初の歴史のページ(8-9ページ)に書いてあるように、東京商船大学の前身である三菱商船学校、それと東京水産大学の前身の水産伝習所、そのできた最初の理由が実学なんです。船の操縦の仕方や缶詰の作り方とか魚の獲り方、本当に産業を基にしたというのかな、それを伝え教育していく機関だったわけです。それが綿々と今まで続いているというのは事実だと思います。小さいけれども両方とも非常に特色がある大学となっていて、実学重視の大学であると。これは旧両大学の共通理念であったという風に思っています。それと同時に世界の海を対象とした船乗り、あるいは世界各地の魚を扱う水産、世界をまたにかけた、いわゆる『グローバル化』と今はそういっていますけど、それを旧両大学はすでに推進していた。海外との交流もその一つです。やはり国際化ですね。学生自身もそういう発想がすごく強くて、海外にあこがれどんどんチャレンジしていく気概が両大学ともありました。ただそれが最近は減ってきたんです。そこで、積極的に海外へということで、いろいろプログラムも組んで、例えば海外探検隊※1とかをやることによって海外に行く機会も増えてきました。本学は昔から外国との付き合いが多く、こんな小さな大学なのに102校の外国機関と協定を結んだり、学生交流は52校と他大学に比べてすごく多いと思います。そういう伝統があり、しかも専門性が高いので本学の留学生の多くは学部からではなく大学院から入ります。今大学院でいうと学生に占める留学生の割合は26.9パーセント※2です。これは全国立大学の中でも10位以内に入るんです。ただ交流があるからくるわけではなく、やっぱり技術があって、勉強したことが役に立つ。だから来たい。国に帰って、先生になる人もいるし、企業に入る人もいるけれども、そういう実学志向の大学であるからこそ、東アジアや東南アジアも含めた様々な国から来て学んで、帰っていく。グローバルな一面は、実学重視と併せて、非常に大きなうちの特徴だと思います。▶ 竹内学長は学生時代から若手教員時代まで多くの時間を東京水産大学で過ごされています。現在と比べて、変化したところ、また変わらないと感じるところはありますか。私が大学生として入学してから50年が経っていますが、一番変わったのは女性の数かなと思います。特に越中島の海洋工学部は当初は男子だけの全寮制でしたから、変化はもっと大※1 海外探検隊:正式には「海外派遣キャリア演習」 1ヶ月間海外に滞在して行う実習型授業 https://www.kaiyodaiglobal.com/abroad/abroad3/ ※2 2019年5月1日現在

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