学科の源流「機関士教育」について船と機関士 : 「洋上の街」を動かすために 船舶という存在は、荷物や人を輸送する移動体ですが、インフラの集積であり、さらには安全のために、年々、高度な最先端技術が導入されているものです。動力を生み出す船の心臓であるエンジン、居住空間の空調や照明、水道が整備され、そのための発電供給などを備えることから、船舶は「一つの街」とも形容されます。 機関士の役割はその「街」をまるごとエンジニアリングすることです。機器全体の責任者として運用から保守までを行います。そのためには、プラントの機器全てを管理・制御できる知識・技術が必要です。しかし、ただ多くの機械を取り扱えるだけでは不十分です。現状を的確に把握して、プラント全体で起こる現象とその理由を結び付け、不具合の原因究明やメンテナンスを要求された条件の中で自力で行える工学的な知識が求められます。 また、溶接や組み立てといった工業的な技能や機器の経年劣化等についても理解を深める必要があります。さらには、経済性や安全性を考慮した計画的な運用方法の考察や新たな技術の開発へのフィードバックなど、必要となる能力は多岐にわたります。「機関士教育」から「時代に沿ったエンジニアの養成」へ 制御技術の高度化がプラントを変えた 近年では、プラント等の高機能化が急速に進み、ICTやAIの導入などが図られ、制御システム、電子機器、それらの設計製造など、卒業生は先端的な技術の理解を求められます。本学科では、機関・機械だけではなく制御分野にも力を入れており、「ロボット工学」といった基礎科目の必修化や、制御システムの技術者・開発者を目指すコースの設置など、基礎から応用までの制御分野の教育を取り入れています。さらに水中ロボットや自動運航船の技術開発に取り組む研究室もあり、最先端技術が教育にもフィードバックされています。 新技術の導入や各技術の高度化・細分化が進む現代では、技術的に高度なマネジメント力と新たな分野の知識の両方を備えたエンジニアが必要です。本学科は、従来の工学を基礎として伝統的に培ってきたプラント等を構成する機器・技術に、さらに先端技術を組み込んだ教育により、船舶や機関士以外の幅広い分野にも研究者・開発者を含むエンジニアを輩出しています。 国立大学法人 東京海洋大学:統合報告書Integrated Report23PICK UP: EDUCATION学生1人あたりの教育経費推移学生1人当たり教育経費とは、大学が直接教育活動に使用した経費について、学生数で除した数値です。類似大学と比較しますと、本学が、毎年高い水準を維持していることがわかります。なお、本学の教育経費推移の詳細につきましては、42ページの財務情報にてご確認いただけます。財務情報等でみる教育活動1514131211108004000■ 東京海洋大学 ■ 類似12国立大学平均■ 東京海洋大学 ■ 類似12国立大学平均2014201513人14人11人11人12人2016201720182014530千円292千円591千円373千円529千円342千円465千円340千円529千円335千円2015201620172018
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