東京海洋大学 2020 統合報告書
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国立大学法人 東京海洋大学:統合報告書Integrated Report27日本の海はマイクロプラスチックのホットスポット!? アジアの海洋ごみ事情 調査を進める中で、日本周辺海域ではマイクロプラスチックが特に多く、世界平均の27倍の浮遊密度で存在していることが明らかになりました。 しかし、海洋プラスチックごみの排出量が世界でも上位である中国や東南アジア諸国の周辺海域の実態については不明な点が多く、本学が東南アジア地域をリードして調査を進めていくことが求められています。現在ではその第一歩として、海洋ごみの分布調査に外国人研究者の研修を受け入れており、2019年度からはタイやインドネシア等の研究者と共同研究を実施しています。東京海洋大学の役割「調べる」「知る」「知らせる」 これまで本学では、こうした調査研究を通じて世界標準レベルの調査手法を構築してきました。そしてその成果は、我が国の海洋プラスチックごみ対策の策定や、削減のための活動に役立てられています。 今後も引き続きデータ蓄積を進めていくと同時に、調査手法の標準化及び新たな調査手法の開発を進め、国内外の同分野における先端的な研究者とともに世界の海洋ごみ調査研究を主導していきます。 そして、調査結果を社会へ「知らせる」ことで、一人一人が海洋ごみの削減について考えるきっかけになることを目指します。練習船を活用した調査研究による世界初の成果 世界で初めて発表した海洋マイクロプラスチック浮遊量の予測の成果は、本学練習船によって継続的に実施した太平洋西部(南極域から日本まで)におけるマイクロプラスチックの浮遊調査の結果が基となっています。2016年(上段)と2066年(下段・予測)における海面近くのマイクロプラスチック重量濃度分布 Isobe et al. Nature Communications, 10: 417 (2019)2016年9月15日久慈沖水深78mの海底で発見された36年前の菓子パンの袋。プラスチックは海底に沈むと半永久的に残り続ける。PICK UP: RESEARCHマイクロプラスチックとは5mm以下のプラスチック片。プラスチック製品が紫外線などでもろくなり壊れた破片や洗濯で出る合成繊維の糸くずなど、私たちの生活から排出されています。2016年2月2066年2月2016年8月2066年8月外部資金収入推移直近5年間の本学外部資金収入について年度ごとに比較しますと、近年右肩上がりで増加していることが見て取れます。特に本特集で取り上げました研究に必要となる資金としても使用されています、受託研究等収入につきましては6.6億から8.7億円と5年間で2億円以上も増加しています。本学では上記のように外部からの資金も活用しながら、海洋・海事・水産の各分野におけるトップクラスの調査・研究を行っています。※受託研究収入:企業等からのテーマに基づいた委託を受け、研究を実施。その成果を報告する対価として収入を得るもの財務情報等でみる研究活動■受託研究等収入 ■受託事業収入 ■寄附金収入 ■科研費等(直接経費)■ 東京海洋大学 ■ 全国平均15.013.011.09.07.05.080070060050040030020020146.62.611.0億円20152016201720184972384582533442813248.73.214.1億円686288465

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