東京海洋大学 2020 統合報告書
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す。そこで、本学では海鷹丸を利用した毎年の恒常的な南大洋の観測調査により、深層大循環の変貌を解明するプロジェクトや南大洋の生態系とその動態を解明するプロジェクトを進めています。 また、南極底層水観測網の強化を図るため、国立極地研究所との連携のもと、国際的に重要な観測点を提案し、3,000m以深に及ぶ水温・塩分等の監視を続けています。観測で得られるデータは、将来の環境変化を予測するための重要な基礎資料として国内外の関係機関に提供されています。 本事業では、地球環境の変動に対して我々が取るべきアクションプランの提供を目指しています。南極観測への国際的な学術貢献 本学は、南極観測に関わる歴史が極めて長く、前身の一つである東京水産大学が1956年の第一次南極観測隊に参加して以来、研究を目的とした環境調査を継続的に実施しています。 南極大陸縁辺の海域で形成される底層水は、地球規模の海水の循環を通して地球の気候に影響を与えていると考えられていますが、近年、その様相が顕著に変化していることが分かってきました。南極の現状と地球環境への影響 南極大陸縁辺の海域で形成される底層水は全球をめぐる深層大循環(熱塩循環)の原動力の一つであり、この熱塩循環によって地球全体の安定した気候が維持されています。しかし、近年、海鷹丸の観測により南極底層水が昇温・低塩化していることが明らかになってきました。この傾向が続くと南極氷床の急激な融解による水位上昇、気象要素の地域差増大に伴う気候変動や台風・豪雨の強化など、地球全体の環境に大きな影響をもたらすことが懸念されています。南極地域観測事業について 地球規模での気候変動のシステムを理解し、将来の気候を高精度で予測することが社会的に強く求められています。そのためには、気候変動の鍵を握る南大洋で、現在進行している温暖化等の兆候やその影響を精密観測により定量的に把握することが必要です。 しかし、南極海、特に深海・底層域の物理・化学データは国際的に不足しており、生物学的データは極めて少ない状態で本学の所有する最大規模の練習船。最新鋭の観測調査機器を備えており、太平洋、インド洋、南氷洋を含む世界中の海を行動海域としています。海鷹丸国立大学法人 東京海洋大学:統合報告書Integrated Report29RESEARCH深層大循環と気候変動の実態に迫る南極地域観測事業PICK UP: RESEARCH民間企業との共同研究に伴う研究者1人当たりの研究費受入額大学の規模ではなく特性を示す本指標(2018年度実績)について、本学は対象である全国の大学等 1,062校の中で25位(1人あたり686千円)と非常に高い数値となっています。また、グラフの通り直近5年度の推移を見ても、毎年全国平均を上回っています。本グラフから、学長インタビュー(12-15ページ)でもご紹介したとおり、強みである専門家集団(先端化・専門化した研究が可能)という特性を生かし、産業研究が非常に盛んである本学の状況を確認することができます。 ※文部科学省 大学等における産学連携等実施状況調査実績より算出財務情報等でみる研究活動■受託研究等収入 ■受託事業収入 ■寄附金収入 ■科研費等(直接経費)■ 東京海洋大学 ■ 全国平均15.013.011.09.07.05.0800700600500400300200100020146.62.611.0億円2015201620172018201449723845825334428132420152016201720188.73.214.1億円単位:千円686288465

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