東京海洋大学 2020 統合報告書
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していますが反面、教育研究活動の基盤となる建物などについて価値が減少しています。建物経年推移[減価償却の進行とその対応] 建物などは年度を経るごとに(使用するたび)通常その価値が減少していくと考えられます。 本学の建物はグラフ⑤(建物経年推移)の通り、新規投資額(又は改修額)が減価償却額に追い付かず、15年間で約27.9億円もの価値の減少を招いています。 国立大学法人の会計制度では、法人化の際に国から譲り受けた(現物出資)建物について、資産の管理責任は国にあると考えられ、当該資産の更新財源は国が措置することを前提とした制度設計が行われています。 但し、グラフ⑤からは、これまで建物の老朽化の進行に、改修や建て替えのための国から予算措置が追いついていないこと、また安心できる教育研究活動の継続のためには、今後多額の更新財源が必ず必要となってくることが見て取れます。実際のところ東京海洋大学のキャンパスの建物は、築50年以上が約4割を占め、築25年以上の建物を含めると全体の約8割となり、多くの建物が老朽化している状態となっています。 そこで本学では、教育研究活動に支障のない範囲で文部科学大臣の認可を受けて第三者に土地等の貸付けが出来るように国立大学法人法が一部改正されたことを踏まえ、品川キャンパスの土地の一部の有効活用について申請し、認可を得ることが出来ました。今後は国からの財源措置だけでなく、このような資産の有効活用による経済的対価等の自主財源を組み合わせてキャンパス環境の整備を推進し、教育研究水準の一層の向上を図るための努力を続けていきたいと考えています。※1 文部科学省が財務分析上の分類として、86の国立大学を8つに区分したもの。詳細は本報告書44ページをご確認ください。※2 教育経費は、通常教育活動を行うために当然必要とされる、授業を行う教員の人件費や間接的に学生活動の支援を行う附属図書館経費などについて集計対象としていません。仮に人件費の一部や、教育支援経費について、教育にかかるコストとして算定をした場合、学生一人あたりに162.5万円を使用している計算となります。これは、年間授業料金額(535,800円)の3倍以上の金額となります。※3 要因として原油価格の高騰など。詳しくは本報告書46ページをご確認ください。より詳しい財務情報は、下記URLをご参照ください。https://www.kaiyodai.ac.jp/disclosure/finance土地82.6%建物・構築物7.6%船舶4.8%現金及び預金 1.5%2004年度末資産総額1,074億円その他 1.0%図書 0.8%投資有価証券 0.8%工具器具備品 1.0%土地83.9%建物・構築物5.1%船舶4.4%現金及び預金 2.3%2018年度末資産総額1,052億円その他 1.7%図書 1.0%投資有価証券 0.9%工具器具備品 0.7%(単位:億円)160140120100806040200■取得額 ■減価償却額(累計) ■ 価額(取得額ー減価償却額(累計))200420188254グラフ④ 本学資産(リソース)構成要素グラフ⑤ 建物経年推移不可欠な支出を集計した科目となります。  一般的に率が低いほど効率的な経営ができていると好ましく評価される傾向にある指標です。  本学では、コピー用紙やトイレットペーパーなど日常的に使用する物品について近隣の大学と共同調達を進めて経費の削減を図るなどの経営努力を行っています。   上記のような取組により、経常費用(日常的に発生する全ての費用)に占める一般管理費の率について類似大学と比較すると、毎年数値が大幅に下回っており、効率的な運営ができていることがわかります。  このことから他大学と比較し、効率的な経営(一般管理費の低下)により、発生した財源を教育経費に廻すといった理想的なサイクルが構築されている本学の姿がみえてきます。  ただし、一般管理費の中には、学内の安全を守る警備委託料など学内の安心安全を提供するために必要不可欠なコストが多く、削減率が低下傾向にあることが課題といえます。資産の構成要素変化 [建物価値の減少] ここからは少し見方を変えて、本学が保有する土地、建物、実験設備などのリソース面について財務用語・数値を使用してご説明します。 本学は都内(港区・江東区)の主要駅近くに広大なキャンパスを有する関係上、グラフ④の通り資産全体に占める土地の割合が非常に大きいです。 また、法人化後15年を経て図書、投資有価証券などは増加資産の構成要素変化 [建物価値の減少]建物経年推移[減価償却の進行とその対応]国立大学法人 東京海洋大学:統合報告書Integrated Report41

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