東京海洋大学 VOYAGE 2021
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Tokyo University of Marine Science and TechnologyVOYAGE 202104Q. 2021年度からの新学長就任にあたって、まずは意気込みや抱負をお聞かせいただけますか。A. まず、大学ですから学生第一で考えたいですね。全学生が学ぶことに喜びを感じる環境を作りたいです。研究については、各教員が知的好奇心のままにやるべきことが大事だと思います。私自身も学生の時、指導教員が研究している姿をみて、面白そうだなと思いました。教員が楽しそうだと、学生も興味を示して、やってみたいと思うと信じています。教員もそれをサポートする職員も、やる気をもって楽しく仕事ができるような環境が実現したらいいなと思っています。もちろん、今までそういった環境ができていなかったというわけでは全くありませんが。次に、人事の閉塞感を打破したいですね。「教員が中々昇進できない」、「学部毎に昇進する平均年齢に差があって不公平」といった話を耳にしますので、どうにか解消したいと思っています。また、2003年に東京水産大学と東京商船大学が統合して、東京海洋大学が始まりましたが、両キャンパスは距離が少し離れているということもあり、教員同士の交流が希薄で、高い垣根がありました。竹内俊郎前学長が、その垣根を低くしてくださったので、それを更に推し進めたいです。Q. 現在の社会変化と、その中で果たすべき本学の役割についてお聞かせください。A. 少子高齢化、労働人口の減少、経済の低迷、格差社会等、私が学生の時と比べると、非常に苦しい社会情勢になっていると痛感しています。私が学生だった頃は、バブル景気の少し前で、景気がよくなっていました。その為、博士課程に残ることに不安感はなく、修了すればどこか就職できるだろうと考えることができたので、進学を選択しました。今の学生は、早く就職を決めたいので、勉強に身が入らない。私が今の学生と同じ世代の若者であれば、同じように経済的な心配をしていると思います。その中で本学が果たす役割は、社会システムを悪循環から好循環へ一変させるような能力を持つ優秀な学生を発掘し、育成することに尽きると思います。海洋分野で先端を走る本学ならではの教育・指導がきちんとできれば、SDGsやSociety5.0といった社会的な課題に対して、主導的な役割を果たす人材を育成できると思っています。現在は、本学の強みを活かす教育の一環として、「卓越大学院プログラム」に全力を注いでいる最中です(※詳細 p.6)。Q. そうした社会の変化の中で本学が直面している課題と、その課題に対する今後の戦略を教えてください。A. 国から大学への運営費交付金が減少しており、実習などを縮小・中止している話も聞きます。実験・実習、実際にモノに触れて学ぶ機会を増やしたいと思いますし、学生のやる気を引っ張り出していきたいです。その状況を打破するために、研究経費については、科学研究費補助金や受託研究、共同研究、寄附金などで得られる外部資金の獲得に注力したいです。教育経費については大学でサポートしていきたいと思っています。[本学の展望と課題、戦略 ── 学生第一の大学へ]全学生が学びに喜びを感じる環境を作り、学生のやる気と興味を引き出す。写真上:陸海域自律調査システムの実験装置調整の様子写真下:地震探査振源の動物プランクトンへの環境負荷測定に関する実験海水等を模擬した水中での金属材料の耐久性評価試験

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