Q. 新しい取り組みを積極的に行う上で、組織運営が重要になってくると思われます。井関学長が組織運営をしていくうえで特に大事にしたいことはありますか。A. 大学は教育機関であるという原点に立ち戻って、教員は教育をしっかりやってほしいですね。そのために、「教員が何を教えたか」ではなく、「学生が何を修得したか」を意識して、何らかの方法で学生の理解度を測らないといけないと思います。学生が、「ここで学んだことが役に立った」という満足度、そういった感覚を測定する取組を行いたいです。大学組織運営については、教員研究を司る教育研究評議会と大学経営を司る経営協議会が相互に牽制しながら、進めていく必要があると思います。学長の権力は非常に強くなっていると思うのですが、教育研究評議会からの「行き過ぎだぞ」という意見や、経営協議会からの「そんなことしていたら経営破綻するよ」という声に耳を傾け、内部統制を働かせる必要があると思います。また、せっかく意見を言っても「学長がわかってくれない」、「聴いてくれない」となるのはよくないですね。全ての要求に満足いく回答は出せないけれども、説明することは必要です。情報を出し惜しみせず、みんなの理解を得て大学を運営していきたいと思います。いろんな先生が、やりたいことに対して「うん」といえなくても、「あれだけ考えているならつきあってやろうか」となる組織にしたいですね。Q. 最後に、本インタビュー記事を通じて、読者の方々へメッセージをお願いします。A. 本学の学生と卒業生には、まだ誰もやっていないことを見つけてほしいなと思います。既存の枠にとらわれない、隙間というか、今ないものを見つけ出す能力ですね。チャンスをすぐに見つけられるような目をもってほしいと思います。そのためにも最近よく言われているのが、「ダイバーシティ」、色んな学生を受け入れることですね。同じことは教職員にも言えます。色んな人間がいないと、色んな学生に対応できない。多様な人材が、専門や個人の特徴を活かす、得意分野で活躍していくという体制にしたいです。教育の改革をやるなら、全教職員の同意と協力が不可欠です。それから学生には、大学はどう変わろうとしているか知ってもらいたいです。そのためにこのインタビュー記事を読んでいただきたい。情報開示として、何をやりたいかは発信していくつもりです。リスクも隠さずに話したいと思いますし、そういった方針で大学運営もやっていきたいと思いますので、お付き合いよろしくお願いします。[今後の大学運営と読者へのメッセージ]「何を教えたか」よりも「学生が何を修得したか」を重視する。教職員、そして学生が多様な個性を活かし、「今ないものを見つけ出す人材」の育成へ。高温超電導モータを使用した実験準備
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