神戸大学 法学部案内 2018
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 神戸大学法学部は、1902年(明治35年)のいわゆる「神戸高商」の創立に遡る110年余の歴史をもっています。明治期以来のわが国の社会科学をリードする教育研究機関として、社会の変化に即したアカデミックな貢献をするとともに、各分野で活躍する卒業生を輩出してきました。 法学や政治学は、高校生のみなさんにはあまり馴染みのない分野かもしれません。わかりやすくいうと、医学が、わたしたちの「物理的な生存」にとって必要なことを取り扱っているのだとすれば、法学政治学は、わたしたちの「社会的な生存」のための課題に取り組んでいます。 わたしたちは一人ひとりが、様々に意見や考え方、価値観、利害が異なっています。そんなわたしたちが、自分らしさを失わないように共存して生きていく(社会的生存をする)には、どうすればよいのか、どんなシステムや考え方が必要なのか、今の社会では――日本国内のみならず、世界全体において――そのシステムや考え方がきちんと機能しているのか、どうすれば機能させられるのかということを考える学問領域です。 そして、大学はアカデミックな機関です。アカデミックというとなんだか厳めしいとか堅苦しいという印象があるかもしれませんが、そうではありません。常識や伝統に囚われず自由に発想するという意味です。世間では「他の人が考えるように考えよ、他の人と同じように行動せよ」という圧力が強いかもしれません。しかし大学は、そうした同調圧力をとても嫌うところです。どんな大胆な問いも、大胆というだけで否定されることはありません。当たり前と思っていたことを問い直したり、価値がないと思われていたことに光を当てたりすることこそが、新しい考え方、新しいシステムの着想へとつながるからです。 こうした雰囲気は、高校までの学校生活とは随分と違っていると思います。大学に入ると、その自由さにびっくりされると思います。その自由さを、単に遊びに費やすのではなく、発想の柔軟さ、視点の斬新さといった「人間力」を養うために有効に使っていただきたいと思います。 そんな「人間力」を備えた神戸大学法学部の卒業生は、社会のさまざまな分野で活躍しています。グローバルに展開する企業はもちろんのこと、法曹(裁判官・検察官・弁護士)として、政府や自治体の公務員として、国際機関やマスメディアの担い手として、そして法学政治学の研究者として、それぞれの第一線でがんばっています。 神戸大学法学部では、みなさんが夢をかたちにするのを応援し、多方面で活躍する人材を育成するために、常に教育内容の改革に取り組んでいます。希望する進路に応じた授業や、対話を重視した少人数授業は多彩に展開されています。法曹志望者のためには、法学部3年終了後ただちに神戸大学法科大学院に進学できる「飛び入学」制度があります。そして、留学を含めたグローバル教育にも力を入れています。 最後に、六甲台キャンパスの美しさにも触れておきます。昭和初期のロマンティックな雰囲気を伝える登録有形文化財の建物の数々は、本物がもつ、秘めた美しさを堪能することできます。そのような建物を取り囲む美しい花木、六甲山の迫力、それに神戸港や大阪湾を一望する眺めなどに、はじめてこのキャンパスを訪れた人は、一様に驚きの声をあげます。あたかも、戦前の財閥本家の大邸宅をそのままキャンパスにしたかのような観があります。映画(「日本の一番長い夏」など)やテレビドラマ(NHK「べっぴんさん」など)のロケによく使われています。 このキャンパスで、生涯の友と出会い、いろいろな人の声に耳を傾け、クラスメイトや先生と真摯に議論する、そんな学生生活は一生の思い出になるはずです。みなさんとキャンパスでお会いするときを心待ちにしています。神戸大学法学部長中川 丈久 教授行政法(日本法およびアメリカ法)、統治機構論、消費者行政等。東京大学法学部卒業、ハーバード・ロースクール修了。神戸大学法学部助教授を経て、神戸大学大学院法学研究科教授。 第一に、ますます高度に専門化する社会において、十分に活躍できる力をもった法曹や、専門性を有する公務員、企業人等が必要とされています。法学部では、永年にわたる法学・政治学等の学問的な活動によって今日まで培ってきた蓄積と知的資産を活用し、幅広い教養及び法学・政治学的素養を備え、かつ高度に専門化した社会の要請に対応できる人材を育成することを目指します。 第二に、急激に進展しつつある国際的環境において、これまでになかった様々な問題が発生しており、そうした新しいニーズに具体的に対応できる、柔軟な国際人が必要とされています。法学部では、世界有数の経済力を有する日本が、今後ますます国際的責任を果たすべき必要性と使命に応えるため、法的・政治的な領域において国際的な貢献をなしうる人材を育成することを目指します。神戸大学法学部はこのような人材の育成を目指します学部長からのメッセージ11

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