神戸大学 法学部案内 2018
5/16

研究を語る(法哲学)安藤 馨 准教授 私の研究分野は法哲学です。法について哲学的に考察すればそれは文字通り法哲学と呼ばれるわけですが、私自身は「法とはどのようなものであるか」を扱う法概念論、「法はどのようなものであるべきか」を扱う法価値論(ないし正義論)、「(法的・道徳的にいって)ある行為を為す『べき』であるとはどういうことか」を扱うメタ規範論(ないしメタ倫理学)といった分野に関心を持っており、特に分析哲学と呼ばれる哲学的方法を用いてこうした問題について考えています。またこれに関連して、イギリスの古典的法哲学についても研究しています。私のこれまでの研究では、法や政治制度は社会の諸個人の幸福の総計を最大化するものであるべきだと主張する「功利主義」と呼ばれる理論を正義論として擁護してきました(拙著『統治と功利』勁草書房・2007)。また法概念論については法とは被治者に対する命令の体系であると主張する「法命令説」と呼ばれる理論を擁護してきました。現在の私はこれらの理論を組み合わせることで「法に従う義務はあるか」とか「道徳を法によって強制することは道徳的に正しいか」といった法哲学の古典的問題の解明に取り組み始めているところです。これには道徳哲学や宗教哲学といった他の応用哲学のみならず、存在論や認識論や行為論といった哲学分野の知見をも総動員して取り組まなければなりませんが、それこそが法哲学研究の難しさであり、醍醐味でもあります。研究を語る(知的財産法)前田 健 准教授 私の専門は知的財産法です。知的財産法は、発明や著作物、商標といった「知的財産」を保護する法律です。創作活動を奨励したり、商売に対する信用を維持発展させることができるためには、知的財産権という権利を創ってそれを保護することが必要であると言われています。作り上げた知的な創作物や築き上げた信用を、誰でも自由に利用できるとなると、コストをかけてそのような活動を行うインセンティブを失ってしまうからです。もし知的財産権がないと、社会にとって必要なそれらの活動が行われなくなってしまいます。 ただ、かといって知的財産をただ保護すれば問題が解決するわけではありません。知的な創作物は利用者に利用されて初めてその価値を発揮するといえますし、近代物理学の祖であるニュートンは「私が遠くを見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩の上に乗っていたからだ」と語ったと言われるように、そもそも知的な創作活動は、過去の膨大な知的創作物を下敷きにして発展していくものです。創作活動の保護とその成果の活用との間の適切なバランスをとる必要があります。しかも、情報通信技術など科学技術の急速な発展、取引環境の劇的な変化によって、知的財産法を取り巻く状況は大きく変わってきています。既存の法学にとどまらず、幅広い視野と教養が問題の解決にはかかせません。それだけに大変に取り組みがいのあるテーマだと思います。 神戸大学法学部で教鞭をとる教員は、国内外で活躍する、各分野を代表する研究者です。学会の理事長や理事を務めていたり、受賞歴のある教員も多く、また、学部全体の科学研究費(国からの競争的研究資金)の獲得率は、全国トップレベルを誇ります。同時に、多くの教員は、司法試験や公務員試験などの試験委員、国や地方公共団体の審議会委員などの公職を務めて、社会貢献を行っています。 神戸大学法学部では、教員1名あたり入学定員約3名という全国トップレベルの「教員と学生の距離の近さ」のなかで、最先端の研究に基づく高度な授業を受けることができます。神戸大学法学部の特長① 優れた研究力33

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る