神戸大学 統合報告書 2020
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AI空調の最適化による省エネといえば、最新機器への更新が考えられますが、費用対効果の点などから容易ではありません。省エネと快適環境、経済性の両立は、大きな課題となっています。そうしたなか、環境省「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の採択を受け、神戸三宮の地下街「さんちか」の公共通路を対象に、人の動きや場所ごとの温度などをAIで分析し、空調の最適化に活かす「人流・気流センサを用いた屋外への開放部を持つ空間の空調制御手法の開発・実証」に神戸大学、株式会社日建設計総合研究所らが共同で取り組み、対象空間の空調について約40%の省エネを実証しました。(実験フィールド提供:神戸地下街株式会社)神戸三宮の地下街「さんちか」での実証実験①人流予測 利用者の動線や時空間変動を計測・集積し、そのデータをAI学習。人の時空間分布を予測し熱負荷分布を算出。②環境計測 温湿度センサーから空間の状態を把握。現在の温度分布と人によって発生する将来の熱負荷からエリアごとに必要な熱量を算出、再利用可能な空気を判別。③気流制御 ①と②のデータを利用して、人がいる場所に快適な風を送るための気流を制御。同時に半屋外開放部からの影響を抑制。※①~③の運用は、AIを用いて累積データ等を分析し、エネルギーを最適化するように行われています。 ファッション、雑貨、飲食店など約120店舗が立ち並ぶさんちか。その南北公共通路において、AIやIoT技術を駆使して対象空間の空調消費エネルギーを削減するシステムを開発し実証しました。「空間」に対してアプローチし、熱の再配置によって省エネを行うという世界初の取り組みです。このAIスマート空調システムの導入により、2018年7月20日を基準日とし、外気温などが近い同年7月27日で比較したところ、空調電力消費量が42.5%削減されました。世中変実証対象の空調消費エネルギーを42.5%削減AIスマート空調システムのしくみ夏期最大42.5%削減2018/7/202018/7/272018/8/30(電力消費量:kWh)基準日7月実証8月実証通路系統熱源(推計)通路系統空調(実績)地下街出入口地下街出入口地下街通路人の分布から行動予測気流と温度分布で利用可能な空気を判別外気の遮断温度計レーザーレンジファインダ温度計湿度計温度計風向風速計CO2濃度計マルチモールサーモカメラカメラクロスファンマルチダクト(壁設置)AIEMS運転計画作成人流・負荷予測風量・送風温度の制御空気の移動給排気制御による外気の導入促進と流入抑制 また、本システムの開発を行ったSSC推進室(産官学連携本部社会実装デザイン部門超スマートコミュニティ推進室)では、新型コロナウイルス感染症の対策としてシステムの一部に機能追加する形でウイルスを除去する空気循環装置を開発しています。今後、これをシステムへ組み込むことで、清浄化した空気を必要な場所へ必要量供給することが可能となります。26

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