後進の研究者に多くのチャンスをみなみ ちえこ大学院経営学研究科教授。マーケティング論を専門とする。2020年4月より初の女性経営学研究科長に就任。1999年日本商業学会、日本商業学会賞奨励賞受賞他。*アファーマティブアクション 社会的な差別によって不利益を受けている女性・少数民族・障害者などに対し、実質的な機会均等を確保するための措置。(『広辞苑(第七版)』より抜粋)人育2018年度文部科学省科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(先端型)」に、神戸大学男女共同参画推進室が申請した事業案が採択されました。この事業では、女性採用比率30%以上の恒常的達成、上位職登用比率(昇任比率)の向上、次世代を担う若手研究者の裾野拡大、ダイバーシティ環境の充実と学外への波及を目標としています。 この分野の研究者となったのは、様々な縁やタイミングが大きく影響しています。元々は文学部出身で、経営学やマーケティングの知識は持っていませんでした。海外留学や人との出会いを通して、次第にこの分野に興味を持ち、この道に進むことになりました。神戸大学で働くことが決まったとき、恩師から言われた言葉は「あなたにやってほしいことは後進を育てること」。当時は、刺激的で面白いことに挑戦できる期待はありましたが、後進を育てることに対してピンときていませんでした。でも、実は一番大変で大事な仕事が研究者の育成です。一人前の研究者になるのは並大抵のことではなく、自分の持てる能力を総動員して指導にあたっています。 女性の立場から言うと、研究者の世界は男女に関わらず厳しい世界なので、「女性」という観点に偏り過ぎないように気をつけています。性別にとらわれず、人生で何をしたいのかを明確にしてやり遂げられる人が、結果的にはライフステージに縛られずうまくいくと思うからです。ただし、前時代的なまま変化がないのであれば、意識的にアファーマティブアクション*に取り組む必要はあると考えます。若手研究者のためにすべきことは、視野を広げ、新たな能力開発に繋がるチャンスを多く用意することです。そして彼らには、世の中と共にあり、社会に貢献できる研究者を目指していただきたいと願っています。28
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