神戸大学には、阪神・淡路大震災の被災と復興の経験から、災害関連の研究に意欲を持った研究者が各分野に多数在籍しています。そのような異なる領域を横断的に融合し、災害などの外生的リスクに強靭な未来都市の構築を目指す組織「未来世紀都市学研究アライアンス」が高等研究院に設置されました。文理融合の多領域の研究を繋げて得た「気づき」をもとに、地域社会と共に、社会における大学の存在価値を高めることを期待されています。先端研究・文理融合研究:高等研究院未来世紀都市学研究アライアンス 「都市丸ごとシミュレーション技術(IES)」とは、スーパーコンピューター「京」に膨大で多様な都市データ(地図情報や資産台帳など)を取り込んで、神戸の都市を仮想空間に丸ごと再現するという理化学研究所が開発した先進的技術です。建物の堅さや地盤の強さなども反映しているため、地震や津波、集中豪雨などの災害シミュレーションを行うためのプラットフォームになります。 都市安全研究センター飯塚敦教授の主導のもと、IESの技術を一般企業が使用できるよう社会実装に取り組んでいます。2019年8月、大学や研究機関の他に複数の民間企業による「国土交通大臣認定法人『都市丸ごとのシミュレーション』技術研究組合」が組織化されました。各企業へのIESなどの技術の移転・実装から、企業の利潤追求が国土の強靭化や防災・減災の進展に直結するような市場の創造を目指しています。防災・減災に繋がる市場を創造する神戸発の図式「神戸モデル」の実現を目指し、今後も積極的に活動していきます。都市丸ごとシミュレーション技術の社会実装に向けて地域根技術研究組合の今後の活動・各企業が持ち帰った技術を実装するために必要な共通技術を開発する。・全国の都市でシミュレーションが可能となるよう、国土交通省が日本全国の様々な情報をデジタル化したIDP(Infra-DataPlatform)を、各社が様々な事業で活用できる技術を開発する。具体的な活動 社会還元・実装 「都市丸ごとのシミュレーション」技術研究組合 研究統合・高度化 理化学研究所計算科学研究センター(R-CCS)、実大三次元震動破壊実験施設(E-Defense)、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、産業技術総合研究所(産総研)との共同作業飯塚 敦 いいづか あつし都市安全研究センター教授。社会基盤(土木・建築・防災)、地盤工学を専門とする。2008年土木学会関西支部、支部活動功労賞受賞他。32
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