神戸大学 統合報告書 2020
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見化向取組コストサクゲンジャーによる様々な「見える化」教育研究の成果は必ずしも単年度で測れるものばかりではないため、投資(コスト)の効果も直接的に測ることはできませんが、教育研究活動がどのような財源により支えられているかは重要な経営情報となります。さらには、社会からご支援をいただくためにも、このような教育研究コストの見える化は、ステークホルダーの皆様との対話を促進する非常に意義のある取り組みであると考えています。教育研究コストの「見える化」による財務戦略への活用○現在の課題として、外部から見ると大学が開示する情報が不足しているとの声がある。○教育研究コストを見える化することにより、社会(ステークホルダー)に対して説明責任を 果たしていく必要がある。○教育研究コストを支える財源について把握し、大学の財務戦略に活かすとともに、 社会から様々な支援を受ける機会を創出する。財務情報から読み解く資金循環大学にとっての課題患者神戸大学学生企業寄附者納税者保護者地域国神戸大学では、セグメント別に間接経費の獲得額と執行額を集計し、資金循環の見える化に取り組みました。2008年に発足した「神戸大学コスト削減推進プロジェクト(通称:コストサクゲンジャー)」では、2015年に文部科学省が「国立大学経営力戦略」を策定したことを契機として、様々なコストの「見える化」に取り組みはじめました。これまでの実績として、「コストデータ資料集」の作成や「職員の超過勤務状況の見える化」「共同研究費の見える化」などに取り組み、事務局担当課にエビデンスとして提供し、施策に反映するなど、一定の成果を上げてきました。現在は、財務諸表からは直接読み取ることができない教育コストや研究コストに焦点を当てるとともに、収益を含めた財務情報の多角的な分析に取り組んでいます。神戸大学では、受け入れた間接経費のうち約50%は各部局で教員へのインセンティブや研究環境の整備に使用します。残りは学長の裁量によって全学的視点から各部局へ配分します。左のグラフでは、自然科学系や生命・医学系などで差額が大きくプラスとなっている一方、全学基盤系では多額のマイナスとなっています。これは、自然科学系などで受け入れた間接経費の一部を、学長の裁量により附属図書館や情報基盤センターなどの全学基盤系組織に配分し、電子ジャーナル利用料や情報機器保守費など神戸大学全体の教育研究を支える資金として活用しているためです。また、学長の裁量による配分では、受け入れ部局や教員へのインセンティブに配慮しながら、基礎研究分野等への支援も行っています。神戸大学では研究力の向上に向け、学内での間接経費等資金循環の最適化を目指しています。0.5億円教育研究の基盤を支えるセグメント別の間接経費(収益額-費用額)4億円2億円0億円▲2億円▲4億円▲6億円人文・人間科学系社会科学系自然科学系生命・医学系全学基盤系0.3億円2.3億円1.3億円▲5.0億円52

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