神戸大学 大学案内
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工学部工学部建築学は、人間生活の基盤である住宅や建築施設をはじめ、日常の生活から社会生活に至るさまざまな空間や領域を創造していくことを目的としています。現在では、快適さや利便性、安全といった従来必須の要件だけでなく、形態・空間の美しさや豊かさ、地球環境にまで配慮した創造が求められる総合的かつ先端の学問でもあります。本学科では、こうした現代建築の諸要件を踏まえ、建築計画・建築史、構造工学、環境工学の3つの基礎分野に加え、空間デザイン分野を置き、これらを総合する教育を目指しています。学部生が自習できるスタジオ棟やさまざまな実践的演習のための実験棟が整備され、さらに学部で修得した知識と能力を深め、より高度な専門性を獲得するために大学院(博士前期・後期課程)へと進学することができます。社会基盤施設の建設と保全を通じて、安全で環境に調和した社会の創造を目指すのが市民工学。本学科では、環境に負荷が少なく、持続的に発展できる都市・地域を創造、そして保全・再生していくための理論と技術を学び、公共性の高い高度な専門技術と総合的な判断力を備えた国際的なエンジニアを育成します。具体的な内容は、次の通りです。安全で安心な社会:地震や洪水など自然災害から私たちを守り、安全で安心な生活環境を提供。自然との共生:自然環境と調和した社会基盤を整備し未来の人類に良好な地球環境を継承。地域との協働:地域市民の意向を反映し、個性豊かな都市・地域空間を創出。国際協力:海外での社会基盤整備や災害援助など国際社会の発展を支援。これら「パブリックサービス」という言葉に包括される知識を有した技術者・研究者を育成します。電気・電子工学は、産業界および日常生活の双方で必要不可欠な基盤技術となり、目を見張る進歩を遂げています。特に、エレクトロニクス分野の技術革新は、スマートフォン、コンピュータ、LSI、LED、太陽電池、新素材などのハードウェアを提供し、これらを結ぶ情報通信ネットワークやソフトウェアの技術と融合して、高度な情報化社会を実現してきました。電気電子工学科では、このような時代のニーズに応えるべく、電磁気・回路・計算機の基礎はもとより、LSI設計、情報通信・暗号理論、ウェアラブル機器、人工知能、量子ドットやナノデバイス・有機材料を応用した新たな素材・素子・センサの開発と物性、エネルギーの発生・変換・制御と高度化利用などに関する教育研究を行い、新たな技術の展開に寄与できる国際性豊かな人材の育成と先端的な研究を通じて社会に貢献しています。工学部Faculty of Engineering実社会に役立つ工学工学と理学の違いを端的に言えば、理学は「自然界の謎解き」に主眼があり、工学は「実社会に役立てる」ことに主眼があることでしょう。工学でも自然界の原理を追究しますが、得られた知見は最終的に実社会に役立てられます。工学はモノを作るための学問だとよく言われますが、そのモノは実社会に投入され、人が使うものであることを忘れてはなりません。つまり、工学はそのモノによって人々が享受するサービス=コトまでを考えるべきなのです。このような観点から、「ものづくりからことづくりへ」と言われるようになったのですが、それも実は随分前のことです。最近は、環境問題やSDGsなどが声高に叫ばれるようになりました。これは、工学がこれまで特定の地域の人々の短期的な幸せだけを追求してきた結果、地球規模での様々な問題を引き起こしてしまったことによる反省からきているように思います。これからの工学ももちろん「実社会に役立つ」ためにあるのですが、特定の人々の短期的な幸せではなく、地球規模での持続可能なしあわせを追及すべきではないかと思います。神戸大学工学部は、2021年に創立100周年を迎えるにあたり、次の100年を見据えて、「ものづくり、ことづくり、そしてずっと続くしあわせづくり」を表題とするビジョンを策定しました。次世代を担う皆さん、我々と一緒に未来の社会に役立つ新しい工学を創っていきませんか。工学部 教授横小路 泰義教員メッセージ芸術と科学・技術を融合させ、先端的な創造を目指す建築学科安全で環境に調和した、都市・地域を創る市民工学科産業と人の生活を支える高度なテクノロジーを開発電気電子工学科Kobe University38

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